モンタギュウ・ロウズ・ジェイムズ
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/24 05:05 UTC 版)
| モンタギュウ・ロウズ・ジェイムズ Montague Rhodes James | |
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       1900年撮影
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| 誕生 | 1862年8月1日  イングランド | 
| 死没 | 1936年6月12日(73歳没) | 
| 職業 | 古文書学者、聖書学者、小説家 | 
| 国籍 |  イギリス | 
| ジャンル | 怪奇小説 | 
| 代表作 | 好古家の怪談集 | 
| 主な受賞歴 | メリット勲章 | 
| デビュー作 | アルベリックの貼雑帳 | 
|  ウィキポータル 文学 | |
モンタギュウ・ロウズ・ジェイムズ(Montague Rhodes James、1862年8月1日 - 1936年6月12日)は、イギリスの小説家。日本ではファーストネームとミドルネームは「M・R・ジェイムズ」と略されることが多く、ミドルネームは「ロード」と読むこともある[1]。
古文書学者としての余暇に書いた怪奇小説で人気を博した。アルジャーノン・ブラックウッド、アーサー・マッケンとともに近代イギリス怪奇小説の三巨匠と称される[1]。
生涯
ケント州の牧師の家に生まれ、サフォーク州ベリー・セント・エドマンズ近くのリバームアの牧師館で育つ。ケンブリッジ大学を卒業し、古文書学者、聖書学者として名声を得て、フィッツウィリアム博物館長、ケンブリッジ大学博物館長を務める。1905年にキングス・カレッジで教鞭をとり、イーストン校の学長を経て、1913年にケンブリッジ大学の副総長となった。小説家としては1893年にケンブリッジでの茶話会で朗読された自作の「アルベリックの貼雑帳」が評判となり、1895年に『ナショナル・レビュー』誌に発表されたことでデビューを果たした。以後、学内誌や学術誌に作品が掲載されるようになり、1904年に怪奇小説集『好古家の怪談集』を出版。晩年にメリット勲章を授与された。愛称はモンティ。
生涯独身で過ごしたが、『好古家の怪談集』の挿絵を描いた友人ジェイムズ・マクブライドの没後は、その未亡人と遺児を庇護した[1]。
学者としての多数の著述に加えて、短編怪奇小説31作と長編童話1作を書いた。レ・ファニュの短編集を編集して再評価のきっかけを作ったほか、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの英訳もある。エリザベス・ギャスケルやジョージ・マクドナルド、エルクマン=シャトリアン、ドロシー・L・セイヤーズの作品を好んだという。ピアノ演奏をよくし、モーツァルトやハイドンの曲をひいた[1]。愛猫家である一方、蜘蛛が大の苦手だったという[2]。
作品
作風は伝統的なテーマ、形式の怪談を巧妙に語るもので、長く人気を保っている。好古家(antiquary)が古文書や歴史的遺物、史跡を調べたり、入手したりして怪異に巻き込まれる話が多い。自らの作風を19世紀的であり、20世紀的ではないと評している。古風であるがゆえに安定した人気があり、英米では作品集が常に版を重ねた[1]。
主要な作品
 
   - アルベリックの貼雑帳 Canon Alberic's Scrap-book 1893年
- 消えた心臓 Lost Hearts 1893年
- 銅版画 The mezzotint 1904年
- 笛吹かば現れん Oh Whistle, and I'll come to you My Lad 1903年
- 人を呪わば Casting the Runes 1911年
- 五つの壷 Five Jars 1920年 童話
作品集
- 『好古家の怪談集』アーノルド社 1904年
- 『続・好古家の怪談集』1911年
- 『痩せこけた幽霊』1919年
- 『怪異と呪い』ノース社 1919年(『好古家の怪談集』から4編を収録)
- 『猟奇への戒め』1925年
邦訳
日本では小説が全て翻訳されている。短編が中心であるため、アンソロジーに収録されることもある[3]。
- 紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ全集』上・下 創土社 1973年
- 紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ傑作集』東京創元社創元推理文庫 1978年
- 紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ怪談全集』創元推理文庫(1・2) 2001年。21篇
- 紀田順一郎訳『五つの壺』早川書房ハヤカワ文庫FT7 1979年(ジョージ・マクドナルド作品とのアンソロジー)
- 南條竹則訳『消えた心臓/マグヌス伯爵 好古家の怪談集』光文社古典新訳文庫 2020年
翻案
1957年のイギリス映画『悪魔の呪い』はジェイムズの短編「人を呪わば」を原作としている[4]。
英国では1970年代に、BBCのテレビドラマシリーズであるA Ghost Story for Christmasにて作品が数作テレビ化された[5]。
脚注・出典
- ^ a b c d e 創元推理文庫『M.R.ジェイムズ傑作集』(1978年初版)の訳者・紀田順一郎による解説。
- ^ 荒俣宏、武内孝夫『ユア コース シリーズ 世界の恐怖怪談』(学習研究社)p.127
- ^ 『怪奇小説傑作集 第1巻』(創元推理文庫)所収の「ポインター氏の日録」など。
- ^ “Why I love... Night of the Demon” (英語). BFI (2013年8月21日). 2025年10月24日閲覧。
- ^ “英国の怪談は「夏より冬」 今も読まれ続ける「英国3大怪奇作家」が考えたこととは? | 世界時空旅行 | 篠田航一”. 毎日新聞「政治プレミア」. 2025年10月24日閲覧。
外部リンク
- M. R. Jamesの作品 (インターフェイスは英語)- プロジェクト・グーテンベルク
- モンタギュウ・ロウズ・ジェイムズ - IMDb
固有名詞の分類
| イギリスの小説家 | ダニエル・デフォー デイヴィッド・ガーネット モンタギュウ・ロウズ・ジェイムズ アーサー・モリスン マット・ベイノン・リース | 
- モンタギュウ・ロウズ・ジェイムズのページへのリンク

 
                             
                    




