反対表明
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「国際連合におけるLGBTの権利」の記事における「反対表明」の解説
声明に対する最初の反対意見は、2008年12月の初旬に国際連合総会オブザーバー役のローマ教皇庁に所属するセレスティーノ・ミリオーレ大司教から上がったもので、声明の採択によって加盟国に同性結婚の強制力が働いてしまうことへの懸念であった。 「声明が採択されることによって、新たな深い差別を生みかねない。同性間カップルに対して婚姻を認めない国家が批判にさらされたり、承認を強いる圧力がかかる事例が起こり得るでしょう。」 声明草案に対するバチカンの反対意見の中核は性同一性の概念に関連している。2008年12月19日にミリオーレ大司教は以下の発言を行なっている。 「特に、文中にある『性的指向』や『性同一性』という区分ですが、国際法による認証や、合意済の明確な定義が見当たりません。もしこれらを基本的権利として宣言したり実際に取り入れることを考慮しなければならないとしたら、法制度において非常に曖昧な点を残すことになり、また国家間の新旧の人権条約や基準の効果を損なうものにもなり得ると考えられます。」 しかしながら、同性愛に対する法的な差別に反対するバチカンの立場もミリオーレ大司教は明確に表明している。 「ローマ教皇庁は同性愛者に対する不当な差別も認められるべきものではなく、彼らに刑事罰を与える国家に対しては廃止を求めています。」 ローマ教皇庁の論拠に対してイタリアの新聞『ラ・スタンパ』は「グロテスク」と評し、「イタリアなどの同性間の関係性の法的承認を与えていなかった国々が法的承認を与える連鎖反応が起こることを恐れている」と主張している。 アメリカ合衆国は国内法との競合を理由に挙げており 、ロシアや中国、バチカン、イスラム協力機構などと同様に当初は拘束力のない措置には反対していた。バチカンの特使は「これまでの人権の基準を刺激するものである」という声明を発表した。2009年2月にバラク・オバマ大統領によってアメリカは賛同国の立場に方針転換を行った。 57か国が賛成に回った反対声明がシリア代表により総会において読み上げられた。この声明はイスラム協力機構の働きかけによるもので、性的指向は遺伝子コードが原因とする考えを拒絶して国際的な人権の枠組みを弱めるものであると主張するものであり、加えて「本質的に各国の法的管轄にある事柄を掘り下げて考えている」とし、「小児性愛をも含む嘆かわしい行動を社会的正常や正当化させる」ことに繋がると主張するものであった。また同機構はスウェーデンの後押しで行われいた即決の処刑を避難する正式決議の採択にて「性的指向」を削除する土壇場の試みに失敗しているが、最近になり投票で除去され、その後の投票で元に戻されている。
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