制度の役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 02:18 UTC 版)
電気主任技術者(を置く、という)制度には、電気の安定供給や保安の確保という目的で、明治時代その制度発足に当たり、電気技術者の地位の安定化という狙いがあった。当初、学識・学歴経験者(認定取得)のみとしていた資格取得要件は、現在、国家試験という形式で誰にでも開かれている。国家試験は誰でも受験でき、学歴や実務経験を必要としない。 電気事業法による電気工作物の保安規制は、昭和39年の法制定以来、累次の改正が行われてきた。平成7年には、技術進歩による安全実態の向上等を踏まえ、自己責任原則を重視した安全規制の合理化等を基本方針とした規制の見直しを行い、さらに平成11年には、官民の役割分担を見直した合理的な電力安全規制システムの構築を目指した改正が行われた。その考え方は、「設置者等が自らの責任に基づく保安確保への取組を主体的に行うこと」、「国の役割はルールの策定とその遵守状況の監視、事後規制の機動的・効果的な発動に重点をおいたものとすること」等とされ、このような自己責任・自主保安を原則とする枠組みの中核として、電気主任技術者の果たすべき役割が、より重要になっているところである。近年ではメガソーラーや電気自動車の充電スタンド等、資格者が必要な設備が微増傾向にあり需要は多いが、受験者数は横ばいであるため、人口減少と相まって2045年には需要が多い第三種が4000人ほど不足するという予測もある。また第一種と第二種も試験の難易度から資格者が少なく、人材確保が難しいという。このため2022年から第三種の試験を年2回とした他、電気保安業界でもこれまで採用されにくかった実務経験が無い有資格者の採用などに動いている。 電気設備を設けている事業主は、工事・保守や運用などの保安の監督者として、電気主任技術者選任が法令で義務づけられている。前述のように外部委託も可能であるが、個人事業者である電気管理技術者となるには電気主任技術者免状が必須であり、電気保安法人に雇用される実務者には資格が求められているなど、結局は必要となる資格である。また外部委託ができる施設にも制約がある。
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