冷凍空調技士制度設立の経緯
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「冷凍空調技士」の記事における「冷凍空調技士制度設立の経緯」の解説
昭和30年7月28日神奈川県箱根観光会館で行われた全国高圧ガス作業主任者大会で「冷凍設備施設業者に特定の試験制度を適用して、資格を得た技術者を置く法律を設け保安を期すること」と決議し、その実現方を官庁に要請することを協議決定した。通商産業省においては、この議決の趣旨を酌んで一応は機器製造業者及び設備業者の資格を検定して、その登録の実施を考慮した模様であるが、今年4月1日付け(昭和31年4月)で公布された高圧ガス取締法の一部を改正する法律では 遺憾ながら実現されるには至らなかった。高圧ガス作業主任者大会で上記の様な決議が行われるに至った根拠は、高圧ガス取締法においては、一定規模以上の冷凍設備を取扱う (法では冷凍設備を使用してする高圧ガスの製造の作業に関するといっている)冷凍機械作業主任者は、国家または都道府県がする 作業主任者試験を受け、作業主任者免状を有するものでなければならないとしている。然るにこの作業主任者が現に取扱っている機器並びに設備を製作または据え付ける技術者には何等かの資格の制限がないのは、片手落ちで遺憾とするところで、寧ろ機器製造の技術者ならびらに設備担当の技術者の試験制度を確立して、その資格を定め、かくして登録された優秀な 技術者をして完備した冷凍設備を造らせ、これを実際に取扱う有資格の作業責任者に手渡すならば、不安のない運転が行われ災害を防ぐことが出来るというのである。今次の高圧ガス取締法の改定に際して、折角の作業主任者大会の意向に反して、この問題が通産省当局によって採択されなかつたことは、何らかの重要な理由があるものと推量されるが、甚だ遺憾なことである。この問題は将来採択されるものかどうかも予測されず、たとえ取り上げられても数年後の法律改正の時期まで待たなければならない。この状況下でこの問題を放任することは、各般の情勢から見て忍び得ないことである。よつて日本冷凍協会はここにこの冷凍技術士規定を制定して自主的に登録を行い、以って昨年の作業主任者大会の要望に応えると共に、冷凍機器製造並びに設備の施行工事に従事する冷凍技術者諸君の期待に添うこととしたのである。<中 略>この冷凍技術士登録制度が実施されると、設備の註文者は能率のよい、故障のない優秀な設備を得むがために、その工事に実際に携わる技術者として登録された冷凍技術士を指名して安心して工事を任せることになるであろう。従って現在冷凍機器の製造あるいは設備の工事を担当している技術者は、先づその分に応じた冷凍技術士の検定試験に合格するとか、資格の認定を得て、冷凍技術士名簿に登録し、いつ註文者の指名を受けても差支えのない体制を整えておくべきである。(日本冷凍協会冷凍誌 第31巻・第345号 昭和31年7月号より)
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