位置と区別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 10:03 UTC 版)
半金属は周期表上において、金属と非金属との境界線の両端に集まる。それらの元素は一般的に、左下に向かうほど金属的な性質が増し、右上に向かうほど非金属的な性質が増す。この境界線が規則的な階段で表現される場合、それらのグループにとって最も臨界温度の高い元素(アルミニウム、ゲルマニウム、アンチモン、ポロニウム)が境界線の直下に位置することになる。この境界線は、金属-非金属線 (metal-nonmetal line)、半金属線 (metalloid line)、半金属線 (semimetal line)、ジントル境界 (Zintl border)、ジントル線 (Zintl line)などと呼ばれる。後ろの2つは、1941年にフリッツ・ラーベスによって命名された第13族元素と第14族元素との間に引かれた垂直線(ジントル相(英語版))および、通常周期表上で第14族元素より右側に位置する元素と金属元素によって形成される塩のような化合物と、第13族元素と金属元素によって形成される金属間化合物とを区別するのに使用される境界線も意味する。 このような金属と非金属を分割する境界線の概念は、少なくとも1869年より古い文献において記述されている。1891年、ウォーカーは金属と非金属の境界として周期表上に斜めの直線を引いて「図表化」したものを公表した。1906年、アレクサンダー・スミス(英語版)は、彼の非常に影響力のある教科書Introduction to General Inorganic Chemistryにおいて、非金属を残りの元素から分離するジグザグの線を周期表上に含めた。 1923年、アメリカの化学者であるホーレス・グローブス・デミングは、彼の書いた教科書General Chemistry: An elementary surveyにおいて、金属と非金属を分離する階段状の線を短周期表(メンデレーエフの周期表)および各族を18列に並べた通常の周期表のそれぞれに含めた。1928年、メルクは当時アメリカの学校で広く流布していたデミングの18列の周期表を配布する準備を行い、1930年代までにはデミングの周期表は化学のハンドブックや百科事典にまで掲載されるようになった。それはまた、サージェント・ウェルチ(英語版)社によって長年配布され続けた。 一部の著者は、金属と非金属の境界線に接している元素を半金属としては分類せず、その代り、例えば境界線の左側に接する元素を若干の非金属的性質を示す、対して右側に接する元素を若干の金属的性質を示すといった注釈をした。このような対となった分類は、金属や非金属の間の結合の種類を決定するための単純な規則の確立を容易にすることができる。他の著者は、いくつかの元素を半金属と分類することが半金属は周期表上の境界線上で急に一体として変化するのではなく、その性質が徐々に変化していくことが強調されるという事を提示した。時折、金属と非金属の間の境界線は、金属と半金属および半金属と非金属をそれぞれ分割する2本の境界線とされることもある。 いくつかの周期表では、金属と非金属の形式的な境界線が無くとも半金属元素を区別する。その場合、境界線の代わりに斜めの帯もしくは広がった領域のような左上から右下に走る範囲で示され、それはヒ素の周りに集まる。メンデレーエフは、金属と非金属の間に明確な境界を引くことは不可能であり、そこにはいくつもの中間的な物質が存在しているという見解を示した。いくつかの他の出典は、境界線の混乱や曖昧さを注記し、見かけ上不定であると示唆し、その妥当性に対する反論の論拠を提供し、そしてその誤解を招き、論争となり、またはおおよその性質としてのコメントが行われた。デミング自身も、この境界線を正確には引けないことを注記した。
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