位置づけと音楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 16:02 UTC 版)
「ピアノ四重奏曲第1番 (フォーレ)」の記事における「位置づけと音楽」の解説
フォーレの創作期間はしばしば作曲年代によって第1期(1860年 - 1885年)、第2期(1885年 - 1906年)、第3期(1906年 - 1924年)の3期に分けられており、ピアノ四重奏曲第1番はその第1期に属する。フォーレの室内楽としては、ヴァイオリンソナタ第1番に次いで書かれた2番目の作品である。 イギリスの音楽批評家マーティン・クーパーによれば、フランス外でもっともポピュラーなフォーレの器楽作品はおそらく2曲のピアノ四重奏曲であるとする。とりわけこの第1番について、『クラシック音楽史大系7 ロシアとフランスの音楽』でフォーレの項を担当したロナルド・クライトンは、終楽章を書き直すという作曲者の苦労があったにもかかわらず、出来上がった作品の持つ自信の輝きからは、そうした苦労の跡はうかがえないとしており、「この作品が人気があるのは当然だが、それに比べてあとの室内楽が顧みられないのは残念である」と述べる。 一方、フランスのピアニストでフォーレのチェロソナタなどを初演しているアルフレッド・コルトーは、「作品38あたりまでのフォーレ氏の作品が表現しているものは(中略)、日常の逸楽をそそる束の間の喜び、夢の魅惑的で情熱的なイメージ、思春期の感動と願望である」と述べており、日本の音楽学者平島三郎は、この作品はそうしたコルトーの言葉を裏付けるものだとする。 フォーレの作品は晩年に向かうにしたがって内部に沈潜し、表現が地味になってゆくが、このピアノ四重奏曲第1番は、伸びやかでうららかな楽想、音楽的に無理のない展開、ピアノのヴィルトゥオーソ風な書法による演奏効果など、フォーレの初期作品ならではの魅力を見せる作品となっている。
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