位相的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/11 22:51 UTC 版)
数学の位相空間論関連分野における位相的性質(いそうてきせいしつ、英: topological property)または位相不変量(いそうふへんりょう、英: topological invariant)は、位相空間が持つ同相写像のもとで保たれる性質を言う。すなわち、位相空間が持つ何らかの性質が位相的性質であるとは、その性質を持つ任意の空間 X を考えたとき、X に同相な位相空間は何れも必ずその性質を持っていることが言えるということを意味する。形式ばらずに言えば、位相的性質は、空間の開集合の言葉で書けるような位相空間の性質のことと思ってよい。
- ^ Juhász, István; Soukup, Lajos; Szentmiklóssy, Zoltán (2008). “Resolvability and monotone normality”. Israel Journal of Mathematics 166 (1): 1–16. arXiv:math/0609092. doi:10.1007/s11856-008-1017-y. ISSN 0021-2172.
- 1 位相的性質とは
- 2 位相的性質の概要
- 3 関連文献
位相的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 11:31 UTC 版)
三次元球面はコンパクトで連結かつ単連結な境界のない三次元多様体である。これが意味するところは、広い意味で言えば、三次元球面上のどのようなループ(循環路)も、三次元球面の面上を離れることなく連続的に一点に縮めることができるということである。かのポワンカレ予想(2003年にグレゴリー・ペレルマンが証明した)は、上記の性質を満たす三次元多様体は(同相の違いを除いて)三次元球面だけであることを述べるものである。 三次元球面は三次元ユークリッド空間 R3 の一点コンパクト化に同相である。一般に、三次元球面に同相な任意の位相空間を三次元位相球面 (topological 3-sphere) と呼ぶ。 三次元球面のホモロジー群は、0 次および 3 次が無限巡回群 Z でそれ以外はすべて {0} である: S3 のホモロジー群 H0(S3, Z) = H3(S3, Z) = Z, Hi(S3, Z) = {0} (∀i (≠ 0, 3)). これとまったく同じホモロジー群を持つ任意の位相空間を三次元ホモロジー球面(英語版)。アンリ・ポワンカレは初め、任意の三次元ホモロジー球面は S3 に同相であろうと予想したが、自身の手でこんにちポワンカレホモロジー球面(英語版)と呼ばれる反例を構成して、予想は否定的に解決された。今ではホモロジー球面は無限個存在することが知られている。例えば、三次元球面上にある任意の結び目についての傾き .mw-parser-output .sfrac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .sfrac.tion,.mw-parser-output .sfrac .tion{display:inline-block;vertical-align:-0.5em;font-size:85%;text-align:center}.mw-parser-output .sfrac .num,.mw-parser-output .sfrac .den{display:block;line-height:1em;margin:0 0.1em}.mw-parser-output .sfrac .den{border-top:1px solid}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1/n のデーン充填(英語版)はホモロジー球面を与えるが、これらは典型的には三次元球面に同相でない。 同様にホモトピー群は π1(S3) = π2(S3) = {0} および π3(S3) = Z であり、それより高次(以下の表で k ≥ 4)の場合は全て有限アーベル群となるが、その現れ方は単純に記述できるようなパターンにはなっていない。より詳細は球面のホモトピー群(英語版)を見よ。 S3 のホモトピー群k 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 πk(S3) 0 0 0 Z Z2 Z2 Z12 Z2 Z2 Z3 Z15 Z2 Z2⊕Z2 Z12⊕Z2 Z84⊕Z2⊕Z2 Z2⊕Z2 Z6
※この「位相的性質」の解説は、「三次元球面」の解説の一部です。
「位相的性質」を含む「三次元球面」の記事については、「三次元球面」の概要を参照ください。
位相的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 05:20 UTC 版)
有理数の全体 Q は内在的には、通常の大小関係の定める順序に関して順序位相と呼ばれる位相を持ち、外因的には実数直線 R の(つまり、一次元ユークリッド空間 R1としての)距離位相から定まる部分空間としての位相を持つが、実はこれらの位相は一致する。 有理数の全体 Q は実数全体の成す集合 R の中で稠密である。これは、どのような実数に対しても、そのいくらでも近くに有理数が存在するということを意味する。これは距離空間として以下のように述べることもできる。 有理数の全体 Q は、差の絶対値 d ( x , y ) := | x − y | {\displaystyle d(x,y):=|x-y|} を距離函数として距離空間となる。この距離により Q に位相が誘導されるが、それは R1 からの相対位相に他ならない。こうして得られる距離空間 (Q, d) は完全不連結である。また、完備距離空間とはならない。実は距離 d(x, y) := |x − y| による Q の完備化として、実数全体の集合 R が得られる。 この位相に関して有理数体 Q は位相体を成す。有理数全体の成す位相空間 Q は局所コンパクトではない空間の重要な例となっている。また唯一、孤立点を持たない可算な距離化可能空間となるものとして Q を特徴付けることができる。 一方、Q を位相体とするような Q 上の距離は、これだけではない。素数 p と任意の非零整数 a に対して、pn は a を割り切る p-冪の中で冪指数が最大のものとするとき、 | a | p := p − n {\displaystyle |a|_{p}:=p^{-n}} と定める。さらに |a|p := 0 として、任意の有理数 a/b については | a b | p := | a | p | b | p {\displaystyle \left|{\frac {a}{b}}\right|_{p}:={\frac {|a|_{p}}{|b|_{p}}}} と定めたものを、有理数の p-進絶対値と呼ぶ。このときさらに、差の絶対値 d p ( x − y ) = | x − y | p {\displaystyle d_{p}(x-y)=|x-y|_{p}} は p-進距離と呼ばれる Q 上の距離函数を定める。距離空間 (Q, dp) はやはり完全不連結であり、完備ではないが、その完備化として p-進数体 Qp が得られる。 オストロフスキーの定理によれば、Q 上の非自明な絶対値は同値の違いを除いて通常の絶対値か p-進絶対値で尽くされる。
※この「位相的性質」の解説は、「有理数」の解説の一部です。
「位相的性質」を含む「有理数」の記事については、「有理数」の概要を参照ください。
位相的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 07:49 UTC 版)
f : X → Y {\displaystyle f\colon X\to Y} が平坦とすると、次がすべて成り立つ。 X の任意の点 x と y = f (x) の任意の一般化 y′ に対して、x の一般化 x′ で y′ = f (x′) となるものが存在する。 X の任意の点 x に対して f ( Spec O X , x ) = Spec O Y , f ( x ) {\displaystyle f(\operatorname {Spec} {\mathcal {O}}_{X,x})=\operatorname {Spec} {\mathcal {O}}_{Y,f(x)}} が成り立つ。 Y の任意の既約閉部分集合 Y ′ に対して、f −1(Y ′) の任意の既約成分から Y ′ への射は支配的である。 Z と Z ′ を Y の2つの既約閉部分集合で Z は Z ′ に含まれているものとする。このとき、f −1(Z) の任意の既約成分 T に対して f −1(Z ′) の既約成分 T ′ で T を含むものが存在する。 X の任意の既約成分 T に対して f (T) の閉包は Y の既約成分である。 Y が既約で生成点 y の逆像 f −1(y) が既約であれば X も既約である。 f が閉であれば、X の任意の連結成分の像は Y の連結成分。 Y の任意の副構成可能[訳語疑問点]部分集合 Z に対して f − 1 ( Z ¯ ) = f − 1 ( Z ) ¯ {\displaystyle f^{-1}({\bar {Z}})={\overline {f^{-1}(Z)}}} が成り立つ。 f が平坦かつ局所的に有限表示であれば、f は普遍的開写像(絶対開ともいう)である。しかし、f が忠実平坦かつ準コンパクトであるとき、仮にX と Y がともにネーターであったとしても、一般には f は開写像にならない。またこれの逆も成り立たない。f を被約スキームXred から X への標準的な写像とするとき、f は普遍的同相写像となるが、X が被約ではなくネーターであれば f は決して平坦にはならない。 f : X → Y {\displaystyle f\colon X\to Y} が忠実平坦であれば次が成り立つ。 Y の位相は f についての商位相である。 f がさらに準コンパクトととし、Z を Y の部分集合とすると、Z が Y の局所的に閉な副構成可能部分集合であるための必要十分条件は f −1(Z) が X の局所的に閉な副構成可能部分集合であることである。 f が平坦かつ局所的に有限表示とすると、次に挙げる各性質 P に対してfが P である点の集合は開集合である。 セールの条件 Sk(固定した k に対して) 幾何学的に正則 幾何学的に正規 さらに f が固有射だったとすると、次に挙げる各性質についても同じことが成り立つ。 幾何学的に被約 幾何学的に被約かつ k 個の幾何学的連結成分を持つ(固定した k に対して) 幾何学的に整
※この「位相的性質」の解説は、「平坦射」の解説の一部です。
「位相的性質」を含む「平坦射」の記事については、「平坦射」の概要を参照ください。
位相的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 20:21 UTC 版)
詳細は「位相的性質」を参照 位相空間の定義それ自身は可能な限り一般的に定義されているため、個々の応用では位相空間にプラスアルファの性質を付け加えたものを考えることが多い。 本節では、そうしたプラスアルファの性質のうち代表的なものを紹介する。
※この「位相的性質」の解説は、「位相空間」の解説の一部です。
「位相的性質」を含む「位相空間」の記事については、「位相空間」の概要を参照ください。
位相的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/27 02:47 UTC 版)
任意の順序数は、順序位相の入った位相空間と捉えることができる。位相空間 [0,ω1) および [0,ω1] は、いくつかの興味深い性質を持っている。 [0,ω1) は点列コンパクトであるがコンパクトではない。任意の距離空間においてその二つは同値であるから、[0,ω1) は距離化不可能である。 可算コンパクトではあるため、 [0,ω1) はコンパクトでない可算コンパクト空間の例になっている。 [0,ω1) は第一可算公理を満たすが可分でも第二可算的でもない。 ω1 は[0,ω1) の極限点であるが、 [0,ω1) 内の可算な点列で ω1 に収束するものは存在しない。なぜなら、可算集合の可算和はまた可算集合になるからである。よって [0, ω1] においてω1 は可算な基本近傍系を持てず、[0, ω1] は第一可算公理を満たさない。 ω1 から実数 R {\displaystyle \mathbb {R} } への任意の連続関数 f は、ある順序数から先が定数関数になる。即ち、ある β ∈ ω 1 {\displaystyle \beta \in \omega _{1}} と実数 c ∈ R {\displaystyle c\in \mathbb {R} } が存在して、 β < α {\displaystyle \beta <\alpha } ならば f ( α ) = c {\displaystyle f(\alpha )=c} となる。 他にも ω1 は、長い直線やTychonoff plankといった、位相空間論における重要な反例を作り出すために用いられている。
※この「位相的性質」の解説は、「最小の非可算順序数」の解説の一部です。
「位相的性質」を含む「最小の非可算順序数」の記事については、「最小の非可算順序数」の概要を参照ください。
位相的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 13:46 UTC 版)
線型連続体は順序集合論の研究において重要であるが、トポロジーの分野においての応用が存在する。実際、順序集合が線型連続体であるとき、かつそのときに限り、順序位相の入った順序集合が連結であることを証明しよう(“であるとき、かつそのときに限り”に注意せよ)。一つを暗に証明し、もう一つは練習としておこう。参考文献ではその証明が書かれている。 定理 X を順序位相の入った順序集合とする。そのとき、X が連結であればX は線型連続体である。 証明 x<yなるX の元x,yをとる。x<z<yなるX の元zが存在しないと仮定し、次の集合を考える。 A = ( − ∞ , y ) , B = ( x , ∞ ) {\displaystyle A=(-\infty ,y),B=(x,\infty )} これらの集合は 交わらない(disjointである)。 (a∈Bであれば、x ※この「位相的性質」の解説は、「線型連続体」の解説の一部です。
「位相的性質」を含む「線型連続体」の記事については、「線型連続体」の概要を参照ください。
位相的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 09:23 UTC 版)
局所体を特徴付ける位相的性質を述べる。 局所体 K の付値環はコンパクトであり、K のコンパクトな部分環は付値環の部分環である。 付値環の任意のイデアルはコンパクトな開集合である。 乗法群 K × {\displaystyle \scriptstyle K^{\times }} は連結ではない局所コンパクトな位相群である。 乗法群 K × {\displaystyle \scriptstyle K^{\times }} に対して、n 次主単数群はコンパクトな開集合であり、 K × {\displaystyle \scriptstyle K^{\times }} のコンパクトな部分群は単数群 U の部分群である。
※この「位相的性質」の解説は、「局所体」の解説の一部です。
「位相的性質」を含む「局所体」の記事については、「局所体」の概要を参照ください。
- 位相的性質のページへのリンク