位相周波数検出器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/10 03:53 UTC 版)
位相周波数検出器(phase frequency detector, PFD)は元々4つのフリップフロップで作られた非同期回路である(すなわちRCAのCD4046とmotorolaのMC4344という集積回路に見られる位相周波数検出器は1970年代に導入された)。ロジックが、2つの信号のうちどちらのゼロ交差が早いか、より頻度が多いかを決定する。PLLで使用すると、オフ周波数であってもロックをすることができる。 PFDは乗算器やXORゲートなどの単純な位相検出器設計に比べ、引き込み範囲とロック時間を改善している。これらの設計は、2つの入力位相が既に閉じている(ロックもしくはロックに近い)が、位相差が大きすぎるとうまく動作しないときにいい機能をする。位相差が大きすぎる(瞬間周波数差が大きい場合に起きる)とき、ループゲインの符号が反転し、短間隔でロックから離れるようにVCOの駆動を始める。PFDの設計はこの問題を回避する。 PFDは比較される2つの信号の位相が異なるときだけでなく、周波数が異なる場合にも出力を生成するという利点がある。位相周波検出器は、PLLが入力信号の間違った位相もしくは間違った周波数(例えば入力信号の高調波)と同期するというPLLにおける「間違ったロック」状態を防止する。 バンバン(bang-bang)チャージポンプ位相検出器は、積分器として動作するキャパシタに正または負の固定合計電荷を持つ電流パルスを供給する。バンバンチャージポンプの位相検出器は、検出器が合計効果なく両方のチャージポンプを起動、もしくはどちらも起動しないほど入力同士の位相が十分近いという、デッドバンドを常に持つ必要がある。バンバン位相検出器は単純であるが、デッドバンド内のドリフトのため、非常に小さいピーク間のジッターと関連している。 設計1976年に元のRCA/Motorolaの12状態構成ではなく3状態位相検出器配列(2つのフリップフロップのみを使用)を用いることでこの問題がエレガントに解決できることが示された[要出典]。他のタイプの位相周波数検出器についても、エレガントさは欠けるがデッドゾーン現象の解決法が存在する。3状態位相周波数検出器は信号再生システム(例えば、クロックリカバリ設計)でみられるランダム化された信号劣化と関係する特定の応用では機能しないため、他の解決法が必要である。 比例位相検出器は検出された位相誤差に比例した電荷量を供給するチャージポンプを使っている。デッドバンドはあるものもあればないものもある。具体的には位相差が0であっても「アップ」および「ダウン」制御パルスの両方が生成されるものもある。これらのパルスは小さく、名目上は同じ持続時間であり、位相が完全に一致した時にチャージポンプに等しい正および負の電流パルスを生成させる。この種の制御系を備えた位相検出器はデッドバンドを示さず、典型的にはPLLで使われるときにピーク間のジッタが最小値となる。 PLL応用において、ループがロックされていないときを知る必要がある。より複雑なデジタル位相周波数検出器は普通、ロック状態が解けたことの信頼できる表示を可能となる出力を持つ。
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