伝説と実態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:15 UTC 版)
「ノヴゴロド (砲艦)」の記事における「伝説と実態」の解説
海事史家アントニー・プレストンは著作『The World's Worst Warships』の中でポポフカ(円形砲艦)の特性を以下のように記述している。 「しかし他の点では、これらの艦は惨憺たる失敗だった。こうした艦はドニエプル川の流れに逆らって進むにはあまりに遅く、舵を取るのが非常に難しいことが判った。実際には1門の砲の射撃時でさえ艦の制御不能を引き起こし、6軸の推進器のいくつかを逆回転させてもなお艦の正確な進路維持ができなかった。またこれらの艦は、黒海でしばしば遭遇する荒天に対処することができなかった。ベタ凪以上のどんな天候でも、彼らは急回転とピッチングの傾向があり、このような状態下では砲の照準も装填もできなかった。」 これらの艦の設計は非常な議論の的となった。1870年代の建造中にも、日々の新聞では多数の記事が支持者と非難家によって公表された。また後には歴史家がこれを取上げた。1875年に表わされた記事の1つでは、ドニエプル川でノヴゴロドが制御不能な回転を起こしたと主張している。一方リードは、セヴァストポリ湾を巡航している最中のこの艦が、片舷の機関を逆回転させた時のことを記述している。「ノヴゴロドは自艦を中心として目眩を起こすほどの速さで容易に回転でき、この種の操作のしやすさには円形が極めて有利である。にもかかわらずこの艦は即座に静止させることができ、また、もし、必要ならばこの艦の回転運動を逆にする。」フレッド・T・ジェーンが行なったように、上に引用された2つの記事が伝説に組み込まれたことは有り得そうなことである。「公試運転において、これらの艦(ノヴゴロドとヴィツェ・アドミラル・ポポフ)はドニエプル川のいくらかの距離をとても良い調子で航行し、後退のために回転した。それから川の流れがこれらの艦を捕え、艦は海まで運び出された。手が付けられないほど猛烈に回転し、艦上の全ての人が目眩で無力化された。」プレストンによる他の批判は以前に討論を受けており、海事史家スティーブン・マクラフリンの意見はこうした艦に対する実際的な評価である。 「結局、ポポフカは比較的有効な海岸防衛用の艦艇だったようである。確かに、これらの艦の兵装と装甲の組合せは、従来艦ならばもっと深い喫水の設計案でのみ達成されるものだった。艦の欠点は――これらの艦には確かに欠点があった――ロシアと海外の両方で批評家によって誇張され、無能な男によって設計された制御不能の船の話が遺産として残された。」
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