企画業務型裁量労働制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/26 12:38 UTC 版)
「みなし労働時間制」の記事における「企画業務型裁量労働制」の解説
2000年(平成12年)の改正法施行により新設された。企業の統括部門に勤務するホワイトカラー層への適用を想定している。 労使委員会が設置された事業場において、委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により所定の事項に関する決議をし、かつ使用者が当該決議を所轄労働基準監督署長に届け出た場合(届出なければ無効)、対象業務を適切に遂行できる労働者を当該対象業務に就かせたときは、当該労働者は、当該決議で定める時間労働したものとみなされる(第38条の4第1項)。専門業務型と異なり、労使協定によって採用することはできない。また、派遣労働者を企画業務型の対象とすることはできない。 採用可能な事業場は以下の事業場である(平成11年1月29日基発45号)。 本社・本店 当該事業場の属する企業等に係る事業運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場 本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、事業運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支社・支店等 労使委員会は以下の事項を決議しなければならない(第38条の4第1項各号)。 事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務(対象業務)「具体的な指示をしない業務」でなければそもそも対象業務として認められないのであって、専門業務型のように「具体的な指示をしないこと」自体は企画業務型では決議事項に含まれていない。なお裁量性が失われない程度の最低限の業務指示、期日管理、業務量や期日の調整のための指示を必要に応じてすることは可能である。 対象業務は、一人ひとりの労働者について判断される。したがって、ホワイトカラーの業務すべてがこれに該当することとなるものではない(平成11年1月29日基発45号)。 対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者であって、当該対象業務に就かせたときは当該決議で定める時間労働したものとみなされることとなるもの(対象労働者)の範囲知識、経験等を有しない労働者を対象労働者として決議しても無効である。制度の性質上、新入社員が対象労働者となることは想定されていない。 対象労働者の労働時間として算定される時間 対象労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。ただし、措置を講じたことをもって、使用者が安全配慮義務を免れるものではない。 対象労働者からの苦情の処理に関する措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。健康・福祉確保措置及び苦情処理措置については、上記、専門業務型裁量労働制における同措置と同等のものとすることが望ましいとされている。 使用者は、この項の規定により対象労働者を対象業務に就かせたときは第3号に掲げる時間労働したものとみなすことについて当該労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかった当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。制度の対象となる労働者個人からの同意が必要である。就業規則等による包括的同意は、「個別の同意」にはあたらない。 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項決議の有効期間の定め 使用者は、上記4~6の事項に関する労働者ごとの記録を、決議の有効期間中および有効期間満了後3年間保存すること 企画型裁量労働制に係る労使委員会の決議の届出をした使用者は、当該決議が行われた日から起算して6ヶ月以内に1回、及びその後1年以内ごとに1回(当分の間、6ヶ月以内ごとに1回とされる)、対象労働者の労働時間の状況、対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況を、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
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