日本におけるURA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/06 01:36 UTC 版)
「リサーチ・アドミニストレーター」の記事における「日本におけるURA」の解説
日本におけるURAは、2012年に文部科学省が「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」が実施されている。各大学では、URAの設置が進められているが、その認知度の低さから教育研究現場では、「研究の事務を手伝う人」と勘違いしている場合が多い。事実、教育研究現場からは、人手不足になった講座の事務処理を担う人材として求める「便利屋的」な見方がある。また、日本の大学の中にも上級URAはもともと大学首脳部の役員(本部長や機構長など)が兼務するだけの「お飾り的」な職位であったり、URAを事務職として処遇し、前述した事務的な業務に従事させること、教員の職階として教授(一講座の教授)より下位に捉える場合がある。これらは本来のURAの職務とはかけ離れたものであり、また職階に関しても大学経営・運営を担う役員級のURAと一講座の管理者でしかない教授(株式会社で言えば課長級)では大幅な開きがある。しかし、日本におけるURA導入は始まったばかりであることや大学経営陣も手探りであることなどから、海外のような本来のURAの職務を運用できないことが影響していると思われる。 ただし、日本の大学の中にも海外のURAと同様に大学経営の中枢にURAを置く事例もあり、これらは海外のURA制度に近いものである。 北海道大学の例:URAを総長が直接指揮する研究戦略室に配置されている。上級URAは、大学の教育研究力の国際化を推し進めるため、経営陣とともに重要な役職として任務を施行する役割を担っている。また、各URAが一般教員よりもより直接的・間接的に大学運営に携わっており、大学運営・経営に影響力が強い職位として配置されている。。 岡山大学の例:学長が直接指揮する組織としてURA執務室が設置されており、経営陣への教育研究施策提言や重要ミッションを管理する「取締役と執行役員を兼ね揃えた組織」、つまりの大学経営・運営の中枢を担う役員級ブレーンとして極めて重要ポストとなっている。岡山大学URAは、科研費獲得支援や従来の研究推進・産学連携人材のようなサポート(支援)人材ではなく、大学を経営する研究系高度マネジメント人材として設置当初から明確にし、配置されている。また、キャリアパスでは既に複数のURAが役員に就任している。制度運用では、2012年の運用開始時から教員でも、事務職員でもない、完全に新設された本部付の「第三の職種」としてURAを設け、すべての学内規定を新設している。さらに働き方改革として、「企画業務型裁量労働制」を導入するなど、わが国のURA制度の先導的モデルとして極めて活発な運用を実施している。
※この「日本におけるURA」の解説は、「リサーチ・アドミニストレーター」の解説の一部です。
「日本におけるURA」を含む「リサーチ・アドミニストレーター」の記事については、「リサーチ・アドミニストレーター」の概要を参照ください。
- 日本におけるURAのページへのリンク