企画から製作に至るまで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 02:22 UTC 版)
「紅き大魚の伝説」の記事における「企画から製作に至るまで」の解説
本作の監督を務めた梁旋と張春は、アニメーション作家となる前は清華大学に通う学生で、当時それぞれ熱工学科と美術学院に在籍していた。2003年に同大学を中退した二人はアニメーション制作に乗り出し、当初は借りていた住居の家賃を支払うための賞金を獲得するために、商業作品専門のコンテストに参加していた。2004年に梁は自身が見た「大きくなりすぎた魚が自分の居場所を求め、空へ飛び立っていこうとする」という内容の夢を作品にすることを思い立ち、張と友人ら数名と共に、本作映画の元となる7分間のFlashアニメ動画を制作した。動画は同年5月に公開され、ネット上で好評を博した。二人はこれを機に、短編を長編映画にすることを決意する。 2005年に梁と張はアニメ制作会社B&Tを設立し、他の商業案件をこなす傍ら、製作予算の調達に取り掛かった。2007年の終わり頃、映画製作が本格的に始動し、2年後の2009年に脚本の草稿の執筆が完了した。また、この頃に本作のサンプル版ムービーが制作された。しかし2010年の初め、資金難に陥ったことにより、製作は一時中断される。梁と張は何人かの投資家のもとを訪ね、資金提供を募った。投資家からは映画の世界観に強い関心を持ってもらえたものの、製作に関しては不可能であり、たとえ完成したとしても市場では受け入れられないだろうと判断され、結局いずれからも資金提供は得られなかった。これは製作当時、中国の映画市場では子供向けのアニメ作品が人気を集めていたため、「アニメは子供のためのもの」という印象が強かったことが影響していた。梁は資金提供を受けられなかったことについて、「結局のところ、僕らは新参者でしかなかった。そんな僕らに、どうして映画作りを任せられるでしょう」と語っている。 転機が訪れたのは、2013年6月初旬のことであった。梁は中国のSNS微博(ウェイボー)にてクラウドファンディングによる資金援助を呼び掛けたところ、45日間で3596人が出資を行い、当初予定されていた目標額120万元を大きく超える150万元以上の資金を調達することに成功する。これは中国におけるアニメ関連のクラウドファンディングで過去最高の出資額とされている。さらに同年11月、中国の映画配給会社・光線伝媒(中国語版)から500万ドルの出資を受けたことにより、資金面での問題が解決された。同社社長の王長田は出資を決めた理由として、クラウドファンディングのサイトにあった本作のプレゼン動画を目にした際、「これは奇跡を生む作品だとすぐに分かった」からだとし、本作を「中国アニメ映画の新たな象徴」と称えている。 2014年には韓国のアニメ制作会社スタジオミールが参加し、アニメーションの仕上げが行われた。また、本作の製作にあたって、梁はサンプル版に含まれていたいくつかのシーンをカットし、新たにシーンを追加したことを明かしている。
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