代表的な艦種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 02:36 UTC 版)
原子力潜水艦は当初第二次世界大戦までの潜水艦の延長線上において、魚雷を用いた水上艦への攻撃を主な任務とした。だが水中性能の向上に伴って、潜水艦を水上・空中から探知することが困難になって脅威の度合いが増すにつれて、潜水艦を潜水艦で「狩る」水中戦の重要度が増すこととなった。こうして、遅くとも1960年代末以降には潜水艦に対する最も有効な兵器は潜水艦であるとの認識が一般化した。このような艦種は攻撃型原子力潜水艦 (SSN) と呼ばれることが多い。 その特性上秘匿性が非常に高いことを活かし、核戦略の一端を担う海中ミサイル基地とでも言うべき艦種も登場した。こうした潜水艦を弾道ミサイル原子力潜水艦/戦略ミサイル原子力潜水艦(戦略原潜)などと呼ぶ。初期のポラリス原潜では、核弾頭1発を搭載した長射程の潜水艦発射弾道ミサイル (SLBM) 16基を装備していたが、MIRV技術の進歩により、現在では1発当たり10発から14発の核弾頭を搭載した多弾頭式の弾道ミサイルを16基から24基搭載するまでになっている。弾道ミサイル原子力潜水艦は大陸間弾道ミサイル (ICBM) の固定サイロよりも発見されにくいという特徴があるため、先制攻撃の手段としてではなく攻撃を受けたあとの反撃手段・第二次攻撃手段としての意味合いが強い。こうした潜水艦の登場は冷戦を背景にしたものである。アメリカ海軍のジョージ・ワシントン級(1番艦は1959年就役)を嚆矢として、まずアメリカとソ連、次いでイギリスとフランスが弾道ミサイル原子力潜水艦を保有するようになると、攻撃型原子力潜水艦の重要な任務には味方の弾道ミサイル原子力潜水艦の護衛または敵方弾道ミサイル原子力潜水艦の捜索・追尾・攻撃が加わった。 その後に弾道ミサイル原子力潜水艦を原型に対地攻撃や対艦攻撃用の巡航ミサイルを装備した型も造られ、このような艦種は巡航ミサイル原子力潜水艦 (SSGN) などと呼ばれることとなった。これは、旧ソビエト連邦海軍において、仮想敵たるアメリカ海軍の空母戦闘群(現在の空母打撃群)への対抗上の観点から特に大きく発展した。しかし、旧ソビエト連邦海軍は、母国から遠く離れた地上発進の航空機兵力においてアメリカに大きく劣るため、戦略ミサイル原子力潜水艦 (SSBN) とは別の種類の専用の巡航ミサイル原子力潜水艦 (SSGN) を何十隻も建造し、3種類の原子力潜水艦 (SSN, SSGN, SSBN) を運用していた。
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