一般向けの説明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 04:11 UTC 版)
三次元球面(一般には三次元多様体)の「三次元」とは、異なる3つの方向(左右・上下・前後(あるいは奥行))に広がりをもつ、点の集まり(集合)を意味する。また、「球面」とは、「中心」に当たる点との超距離を一定に保った点の集まりである。2つを併せると、直観的には、3次元の小さなパーツを組み合わせて球面の形(ただしもちろん3次元)にしたものということができる。目に見える範囲で実存しイメージしやすいものとして我々のいる物理宇宙が挙げられ、たとえ話に用いられることがしばしばあるが、実際の宇宙は何次元なのかははっきりと判ってはいない。 NHKスペシャル『100年の難問はなぜ解けたのか 〜天才数学者 失踪の謎〜』では、ポエナル博士の説明を取材し「宇宙の中の任意の一点から長いロープを結んだロケットが宇宙を一周して戻って来たとする。ロケットがどんな軌道を描いた場合でもロープの両端を引っ張ってロープを全て回収できるようであれば、宇宙の形は概ね球体である(ドーナツ型のような穴のある形、ではない)といえるのではないか、というのが(3次元)ポアンカレ予想の主張である」と説明している。ただしこれは直観的な説明の一つではあるが厳密性には欠ける。もし球体形(円板形)であれば閉多様体でない。また3次元空間内の真部分集合で3次元多様体は閉多様体でない。 3次元球面と同相な多様体とは、きれいに「丸い」必要はなく、(「3次元」として)ヒョウタン、馬の鞍のように「くびれて」いたりしてもかまわない。(例えば、2次元では「コーヒーカップ」と「ドーナツ」は同相である。)。2次元の閉曲面の分類定理から類推されるように、球であるか否かは「穴」がないか・あるかにかかっている(「穴」の個数を種数という)。 「穴」があるかどうかは、例えば地球のような2次元球面の場合、我々は宇宙から3次元空間を通して目視することで確認することができる。しかし3次元球面の場合、外から目視して確認したくても、宇宙の外にはたどり着けていないから行うことはできず、「外因的な情報」ではなく「内在的な情報」のみから「穴」がないかあるかを確認することしかできない。そこで、判断したい場所にロープ(3次元球面上の(1次元)閉曲線)を這わせ、引っかからずに引き寄せることができるかどうかで「穴」がないかどうかを判断するという手法を採る。ポアンカレ予想は、3次元球面の任意の場所にロープを這わせても引っかかることが決してないという主張をしているのである(それ以外のものをさらに区別するには、別な方法を用いて、より詳しい情報を得なければいけない)。
※この「一般向けの説明」の解説は、「ポアンカレ予想」の解説の一部です。
「一般向けの説明」を含む「ポアンカレ予想」の記事については、「ポアンカレ予想」の概要を参照ください。
- 一般向けの説明のページへのリンク