ヴィクトリア朝期
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「フル・ブレックファスト」の記事における「ヴィクトリア朝期」の解説
こうして産業革命期に労働者階級の間にボリュームのある朝食が定着し、19世紀のヴィクトリア朝時代に、一般に知られる「フル・ブレックファスト」が成立する。ヴィクトリア女王が遅めの夕食を摂ることを好んだために、上流階級も女王の習慣に合わせて本来昼食だったディナーの時間を夕方にずらし、朝8時から9時の間にボリュームのある朝食を摂るようになった。ボリュームのある朝食は農村部の郷紳にとって都合がよく、農民は作業の前にカロリーを蓄えるために多量の食事を摂り、カロリーに富み消化の良いポリッジやベーコン、ハムを朝食としていた。また、新しい形式の朝食は、ボリュームのある昼食を摂ることが難しい都市部の上・中流階級からも歓迎された。 ヴィクトリア朝期の英国社会では家族間の関係の強化が求められており、朝食が1日の中で一番重要な食事に位置付けられた。かつて中産階級の家庭では夫と妻は別々に朝食を摂るのが普通だったが、この時期に家族全員がそろって朝食を摂る習慣が生まれ、朝食の量と質も向上する。当時の上流階級の朝食では以下の料理が出され、またカツレツ、ミートパイ、冷製のハムなどの新しいタイプの朝食が一部の特権階級の間で流行したが、中世以来の肉とビールを中心とした食事も健在だった。この豪華な朝食は、エドワード7世の時代まで続いた。 エール オムレツ 牛タン ガランティン(鳥・仔牛の詰め物) ケジャリー ハム ヤマウズラのロースト しかし、朝食の内容は階級によって差があり、その傾向は大工業都市で顕著だった。ヴィクトリア朝期の救貧院で出された朝食は、水っぽいポリッジと固くなったパンだけだった。
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