ロードプライシングの概念と推移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 20:59 UTC 版)
「ロードプライシング」の記事における「ロードプライシングの概念と推移」の解説
この概念は以前から存在したものの、主として1990年代以降、大都市中心部への過剰な自動車の乗り入れによる社会的損失(救急車の到着を遅らせる等の深刻な問題を起こす交通渋滞、大気汚染など)を縮小させる施策として、都心の一定範囲内に限り自動車の公道利用を有料化し、流入する交通量を制限する政策措置が導入される動きがある。 第二次世界大戦後に日本を含め世界中の国や地域で、所得水準の向上により自動車の大衆への普及(モータリゼーション)の爆発的進行に対応して、各国で道路容量の拡大と高速道路網の整備が進められたが、同時に交通事故、大気汚染、騒音などのいわゆる自動車公害が大きな社会問題になってきた。また、道路の新設拡張にも限界が見えて道路容量が頭打ちになったために交通渋滞が慢性化して都市部では悪化する傾向が続いてきた。その結果、供給面の限界に直面した運輸当局は、交通需要を抑制する手段として「ロードプライシング」に注目することになった。 通常の有料道路は、道路建設に投下された資金を一定期間内に回収する目的で料金を徴収するが、ロードプライシングの課金は、社会的損失自身の縮小(需要抑制)に加えて社会的損失事象に対する改善施策費用の回収を目的とする。公害の発生に伴う外部費用を回収する意味合いで課金し、それと同時に公共の利便性を一部犠牲にしながら道路需要を制限する。例えば、渋滞の時間帯について渋滞の比率を計算し、それに比例させたり累進的な比率で道路料金を通行車輌に課金する。または渋滞率なるものを設定して、40%の時間帯には400円、80%の時間帯には800円と課金することにより、渋滞の緩和効果をねらうというものである。 欧州では課金収入の使途について、後述の貨物自動車への課金も含め、道路の維持・拡張よりも公共交通の拡充が重視される傾向がある。
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