ロシアの行政区分下の北方領土
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 05:12 UTC 版)
「北方領土問題」の記事における「ロシアの行政区分下の北方領土」の解説
現在、ロシアの施政権が行使されている状態にある北方四島は、ロシアの行政区分ではサハリン州に属している。国後、択捉、色丹島の現人口は合計約1万7000人で、これはソ連侵攻時に住んでいた日本人とほぼ同規模という。歯舞群島にはロシア国境警備隊のみが駐屯している。 ロシアは2014年択捉島にイトゥルップ空港を整備、2017年色丹島に経済特区を設置する など、実効支配を強めている。 サハリン州は開発が遅れたために、カニやウニなどの魚介類を始め、ラッコやシマフクロウなど、北海道本島を始めとした周辺地域では絶滅あるいはその危険性が高い生物の一種の「聖域」状態となっている。ロシア政府は北方領土を含む千島一帯をクリリスキー自然保護区に指定して、禁猟区・禁漁区を設定するなど、日本の環境保護行政以上の規制措置が取られている。だが、ソ連崩壊後には密猟などが後を絶たず、一部の海産物は日本国内に密輸で流れているという説もある。 現在、一部の環境保護団体の間には北方領土を含む千島一帯の世界遺産登録を求める主張があり、また日本の環境保護行政は水産関係団体や開発業者に対して甘すぎるため、領土返還後には貴重な生態系が破壊される恐れがあるとして返還を危惧する人達もいる。一方、日本国内にも領土問題とは一線を画して、北方領土の対岸で先に世界遺産に登録されている知床とともに、日露両国が共同で一つの世界遺産地域を作っていくべきである、という声もある。だが、世界遺産に登録された状態の北方領土が返還された場合、旧島民の持つ土地所有権や漁業権をどうするのかについて不透明であるために、何らかの特別法制定が必要となる可能性がある。 北方四島交流事業を除くと、日本人が北方四島を問題なく訪問するには、ロシアの査証を取得して訪問しなければならない。ロシアの査証取得後、稚内港または新千歳空港、あるいは函館空港からサハリンに渡り、ユジノサハリンスクで北方四島への入境許可証を取得し、空路または海路でアクセスすることになる。 この方法はロシアの行政権に服する行為であり、ロシアの北方四島領有を認めるとして、日本国政府が1989年(平成元年)以来自粛を要請している。しかし自粛要請に法的強制力は存在しないため、北方四島のロシア企業との取引・技術支援や開発のため、多くの日本人ビジネスマンや技術者がロシアの査証を取得し、北方四島に渡航している。日本国政府としては、この方法での北方四島への渡航者に対して特別な対応や懲罰はしていない。 表 話 編 歴 北方領土におけるロシア側の行政区分 州サハリン州 管区クリル管区 - 南クリル管区 市クリリスク - ユジノクリリスク 村キトヴォイエ村 - ルイバキ村 - ブレヴェスニク村 - ゴルノイエ村 - ゴリャチエ・クリュチ村 - レイドヴォ村(別飛村) - メンデレイエヴォ村 - オツラダ村 - マヤク・ロブトワ村 - ブロワヤ・ルヅニイ村(シベトロ) - ザスタワ・ドクチャエワ村 - ゴロウニノ村(泊村) - ヅボヲイエ村 - クラボザヲヅスコイエ村 - マロクリルスコイエ村
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