ユーザー特定の難しさとその対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 02:05 UTC 版)
「リコール (一般製品)」の記事における「ユーザー特定の難しさとその対策」の解説
登録の必要がある製品、例えば自動車の場合は車検証の情報から「誰がどの車両を所有しているのか」を特定することができるためユーザーへの認知が行いやすく、前述の通りお詫びCMにはまず発展しない。しかしながら、他の登録の必要がない多数の製品の場合は「どこの誰が持っているのか」がわからない。それが故に回収漏れの製品も多く発生しやすく、回収漏れ製品による事故やリコールの長期化、お詫びCMの放映を引き起こしている。特に1970-80年代の家電販売業界では、販売店が資金繰り確保のために家電品を「金融品」として家電ブローカーや家電安売り店(城南電機など)へ転売することが多かったこともリコールの難しさを助長している。上記のナショナル石油暖房機の件及びTDK加湿器の件については、事故を起こしたのは回収漏れの製品である可能性が高いとされている。 パナソニックの事例● - ナショナルショップ販売分は顧客データがあるため回収が進んだが、家電量販店や総合スーパー等匿名性の高い販売ルートでの販売分は一体どこにあるのか、さては廃棄処分されてしまったのかさえもわからないと言う事態に陥っており、対象製品が利用者の自宅で発見されたのみならず、自宅以外で発見された情報や、利用者によって買い替え・廃棄された情報までも集めている。発見された事例として「連絡者の実家」「空き家」「別荘」「空き部屋」「高齢者の自宅」「被介護者の自宅」「物置」「倉庫」「納屋」「ガレージ」「押し入れ」「事務所」「集会所」「店舗」を挙げるまでに至る。 TDKの事例● - グループホームで火災事故を起こした1998年製の加湿器は、発売の翌年である1999年と実に事故発生の14年も前に通商産業省にリコールを届け出ていた。また、それ以前に事故を起こした1993年製の加湿器に関しても1994年にリコールを届け出ており、こちらも9年間回収されなかったことになる。 トヨトミの事例 - 上記パナソニック、TDKと同じように1982~84年製造のファンヒーターで「一酸化炭素中毒の可能性あり」として86年から回収を続けているが2006年時点でも全数把握にいたっておらず、初出から31年も経過した2017年現在もこの旨のWeb広告を出している。 サンヨーの事例● - 石油ファンヒーター「CFH-S221F」においては1985年当時でも残り10%程度とする行方不明のリコール対象品のために2017年現在もリコールを継続している。 ボッシュの事例 - 1984年~92年に日本法人が輸入販売した食洗機・衣類乾燥機について発煙・発火事故が数度発生。しかし2004年11月よりリコールを行ったものの周知が進まず、2007年2月に経済産業省からも対策を急ぐように指示を受けている。 ※●はお詫びCM放映事例 昨今では一部家電量販店において、ポイントカード会員に商品の購入履歴からリコール情報を提供するというサービスを行っていることもある。
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