ユーザー環境
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/25 16:15 UTC 版)
「Incompatible Timesharing System」の記事における「ユーザー環境」の解説
ユーザー環境は、当時の他のOSとは全く異なっていた。 当初、パスワードがなく、ユーザーはログオンすることなくITSを使うことができた。正式にはログオンは可能だが、単に他のユーザーがあるユーザーがシステムを使っていることを知ることができるという意味しかない。 システムの問題点をユーザーが発見した場合、その対処に斬新な手法が用いられた。システムをクラッシュさせるコマンドが用意されていて、これを誰でも実行することができるようになっていた。このコマンドは同時に誰がそのコマンドを実行したかをブロードキャストで通知するようになっていた。 全てのファイルを誰でも編集可能。 他のユーザーの使っている端末間で会話が可能であり、使用中の他のユーザーに助けを求めるコマンド(SHOUT)も用意されていた。 他のユーザーの端末の表示を見ることが可能である(OS = "output spy" というコマンドを使用)。見られているユーザーには通知が行くので、見ている人とのセッションを見られている側から切断可能(JEDGAR コマンドを使用。その名称はFBIのジョン・エドガー・フーヴァーから)。 ゲスト(TURIST)は研究所内の端末からでもARPANET上の外部のシステムからでも利用可能であった。このようなアクセスに関するポリシーが後に制定された。なお、"TURIST" というのはファイル名が6文字に制限されていたためで、PDP-10 が36ビットワードであったため、1文字6ビットで6文字が1ワードに収まったため、このような制限があった。 このような奇異な特徴が数ある中でも、ITSのトップレベルのコマンドインタプリタはPDP-10の機械語デバッガ(DDT)で、未経験者にはそのコマンドは全く解読不能であった。 主なエディタとしては長年 TECO が使われていた。Emacsは当初、TECO 用マクロを集めたものであった。 ITS上では様々なソフトウェアが開発されたが、中でも数式処理システム Macsyma、GNU INFO ヘルプシステム、Maclisp、Emacs などが有名である。 ジャーゴンファイルも ITS 上で始まったものである。
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