ユリウス・カエサルによる火災とは? わかりやすく解説

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ユリウス・カエサルによる火災

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 03:00 UTC 版)

アレクサンドリア図書館」の記事における「ユリウス・カエサルによる火災」の解説

ローマの内戦最中の前48年ユリウス・カエサルアレクサンドリア包囲英語版)された。カエサル兵士たち自分たちの船に火を放ち、海を封鎖しているクレオパトラ7世兄弟プトレマイオス14世艦隊一掃しようとした。この火は市の港に最も近い区域まで燃え広がりかなりの被害もたらした1世紀ローマ劇作家ストア派哲学者であった小セネカリウィウスの『ローマ建国史』(前63年から前14年の間に書かれた)から、このカエサルによる火災アレクサンドリア図書館の4万巻巻物破壊したという言葉引用している。ギリシア人新プラトン主義プルタルコス46年頃生-120年死)は『カエサル生涯』において「敵は彼の海との連絡断とうとし、彼は危険を避けるために自らの船に火をつけることを余儀なくされた。その後、火は港を焼き尽くし、そこから燃え広がってあの大図書館を破壊した」。ローマ歴史家カッシウス・ディオ155年頃生-235年頃死)はしかし、「多くの場所で火がつけられその結果他の建物伝いドックヤード石造り穀物庫、そして膨大な数があったと伝えられる最高級書物焼けた。」と書いている。しかしながら、フロールス(英語版)とマルクス・アンナエウス・ルカヌスは、炎が艦隊焼き尽くしいくつかの「海に近い家々」も焼いた、とだけ言及している。 学者たちはカッシウス・ディオ著述実際に図書館自体燃えたではなくアレクサンドリア図書館巻物収納するために使っていたドックそばの倉庫燃えたのだと解釈している。カエサルのつけた火がいかなる破壊もたらしたとしても、アレクサンドリア図書館明らかに完全な破壊被っていない。地理学者ストラボン(前63年生-後24年頃死)はカエサルによる火災から数十年後の前20年頃、アレクサンドリアムセイオン訪問し、この大研究機関図書館付属していることに言及している。これは即ち、図書館火災生き延びたか、火災後すぐに再建されたかのどちらかであることを示している。にもかかわらずストラボンムセイオンについての語り方は、それがもはや数世紀前に持っていたのと同じよう名声持っていなかったことを示している。ストラボンムセイオン言及するにもかかわらず、その付属図書館には個別言及していない。おそらくこれはアレクサンドリア図書館がその規模重要性劇的に縮小させており、ストラボンがこれを個別言及する必要を感じなかったことを示している。ストラボン言及の後、ムセイオン何が起こったのかは不明である。 また、プルタルコスの『マルクス・アントニウス生涯』の記録によれば、前31年アクティウムの海戦までの数年間に、マルクス・アントニウスクレオパトラ7世ペルガモン図書館20万巻蔵書全て与えた噂された。プルタルコス自身は、この逸話について彼が用いた記録時に信頼できないものであり、この物語マルクス・アントニウスローマではなくクレオパトラ7世エジプトに対して忠実であると見せるための宣伝しかないかもしれない述べている。カッソンはしかし、もしこの物語創作であるとしても、少なくともアレクサンドリア図書館未だ存在していたことは信じられる主張している。 アレクサンドリア図書館が前48年後も残っていたさらなる証拠は、前1世紀末から後1世紀前半の間の総合的注解composite commentaries)の最も特筆すべき作成者が、アレクサンドリア研究していたディデュモス・カラケンテロス(英語版)という学者であったという事実である(彼の綽名は「気概」Χαλκέντερος、Chalkénterosという意味である)。ディデュモスは3500から4000もの本を作り全ての古代著作家の中で最も著名になったと言われている。彼はまた、「本を忘却する者」という意味のビブリオラテス(βιβλιολάθης、Biblioláthēs)という綽名与えられている。なぜならば、彼自身でさえ自分書いた全ての本を思い出すことができなかったと言われいるからである。ディデュモスのいくつかの注解一部後世抜粋の形で現存しており、これらは現代学者にとってもそれ以前アレクサンドリア図書館にいた学者たちの批評作品についての最も重要な情報源である。ライオネル・カッソンはディデュモスの驚異的な著作数は「彼が図書館史料大部分自由に利用できなければ不可であっただろう」と述べている。

※この「ユリウス・カエサルによる火災」の解説は、「アレクサンドリア図書館」の解説の一部です。
「ユリウス・カエサルによる火災」を含む「アレクサンドリア図書館」の記事については、「アレクサンドリア図書館」の概要を参照ください。

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