モータリゼーションからの転換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 15:38 UTC 版)
「モータリゼーション」の記事における「モータリゼーションからの転換」の解説
排気ガスからの二酸化炭素排出や高齢化社会の進展による運転事故の多発など、車社会の問題点が近年多く浮上している。そこでモータリゼーションからの脱却への動きが起こっている。 公共交通機関の見直し路線バスの高度道路交通システム (ITS) を用いた高機能化・円滑化 BRT(バス・ラピッド・トランジット)や基幹バスの導入によるバス利用の推進 次世代路面電車(LRT)への車両更新・地上設備改良 鉄道車両の質の改善内装・外装・原動機・ブレーキなどの改善や振り子式車両・軌間可変電車の導入など 鉄道路線の質の改善既存路線の高速化など 鉄道サービス全般の質の向上パークアンドライド用駐車場設置 自動車での移動距離を必要最小限にするために、駅間距離の長い路線では鉄道駅(場合によっては無人駅)の新設。 バリアフリー化など交通弱者への対応前述の「自家用乗用車1世帯あたり保有台数のランキング」で保有率第2位に入っていた富山県の富山市では、公共交通を利用して中心街で買物をしてもらうなどするために、運転免許を返納したお年寄りに、富山地方鉄道やJRなどの回数券やプリペイドカードなどをプレゼントしている。 貨物輸送のモーダルシフト長距離トラック一辺倒となっていた貨物輸送を、貨物列車の車輌・システム面での改良によって転換するもの。船舶の利用も含まれる。 都心部への自動車の乗り入れ制限ヨーロッパでは都市中心部の乗り入れ制限が多く見られる。イギリスではロンドンでロードプライシング(道路課金)により乗り入れ制限が行われている。 自動車総量規制モータリゼーションそのものに強く反発する論者は、自動車総量規制によって自動車そのものの数を減らすべきであると主張している。 日本はモータリゼーションが進んでいるものの、東京、大阪の両大都市圏で公共交通の利用度が高いことなどから、2002年現在でG7(カナダを除く)中では自動車への依存度が最も低い水準となっている(旅客輸送人キロでみた鉄道のシェアは、日本が27.0%、イギリス6.4%、フランス5.6%、アメリカ0.6%などとなっている)。大都市圏の都市鉄道は非常に利便性が高い一方で、地方部では鉄道は運転免許が持てない通学生向けのダイヤになっている事が多く、地元在住者にとっては不便で自動車なしには生活が困難な場合が多い。 日本では気候変動対策(地球温暖化防止)、超高齢化社会への対応から車社会からの脱却を図る動きが出ている。一方で、日本国内では自動車関連の産業が国内経済のうち重要な役割を占めるため、モータリゼーションからの転換が進めば自動車の販売、自動車用品の販売およびガソリンスタンドの売り上げが低迷することにも繋がる。特に自動車製造業は多くの従業員と多くの協力会社によって支えられているため、自動車の販売不振は多くの労働者が失業することにも繋がる。実際に平成21年には多くの期間従業員が雇い止めになって、深刻な社会問題になった。
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