ミツバチによる生産物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 00:36 UTC 版)
人間は、主に下記の物をミツバチの生活環から得て利用をしている。 蜂蜜 花から得られる糖分と水分、ミツバチ体内の転化酵素が濃縮された物質。有史以前から甘味料として利用され現在では製菓原料、化粧品原料、栄養食品などにも利用される。 蜜蝋(蜂ろうとも表記される) ミツバチが体内で合成し分泌する物質。ワックス成分で巣の主要な構成材料となっている。中世ヨーロッパではろうそくの主原料であった。蜜蝋自体は食品とはならないがワックス、油絵具などのメディウム(薄め液)、石鹸、クリーム、口紅、蝋燭などの原料として利用される。 また、第二次世界大戦時では、爆弾、砲弾、プロペラの滑沢、魚雷、スクリュー、光学兵器、錆止めなどに使用され、重要な戦略物資であった。 プロポリス 植物が芽などを保護する目的で分泌した滲出物をセイヨウミツバチが集めた物質で、巣の接合部位や巣材の蜂ろうの補強材料として、また巣のすき間を埋めるのに使う物質である。抗菌性や抗腫瘍性成分などが注目され、健康食品として利用されている。 プロポリスを集めるセイヨウミツバチの働きバチは専門化していて、花粉と同じように後脚に付けて運ぶ。 セイヨウミツバチの亜種間でプロポリスを集める性質に差があり、コーカシアン (A. m. caucasica )、インターミッサ (A. m. intermisa )はよく集めるが、エジプト蜂 (A. m. lamarckii )やカーニオラン(A. m. carnica )はあまり集めない。 コミツバチ亜属の2種は開放空間の植物の枝に1枚の巣板を作る。この巣へのアリの侵入を防ぐために、植物の樹脂を営巣した枝の巣の近く2-3cmのところに塗布する。オオミツバチでも巣の接合部の補強材料としてプロポリス様の樹脂を使う。 トウヨウミツバチはプロポリスを集めない。 ローヤルゼリー 働きバチが体内で合成し咽頭腺から分泌する物質。ローヤルゼリーのみで育てられたメスの幼虫だけが女王バチとして成長する。ゲノム解析により女王バチと働きバチのゲノムに違いがないことが明らかになっており、どのメスの幼虫も女王バチになる可塑性を持っている。 花粉 働きバチは幼虫の餌やローヤルゼリーの原料とするため、花粉をだんご状にして後脚の脛節にある花粉かご(英語版)につけて運び、巣に蓄える。この花粉団子はビーポーレンとも呼ばれ、主に乾燥物が健康食品として利用されている。 抗HIV物質 ミツバチの毒にはメリチンという抗HIV作用のある物質があり、2017年の段階では実用化には至っていないが注目されている。
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