ホアラフ王の弓兵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 13:42 UTC 版)
「プトゥームの黒人の大修道院長」の記事における「ホアラフ王の弓兵」の解説
何世紀も前、ヨロス国では黒人修道会が栄えた。だがいまでは、貴人や富豪の後宮に従事する宦官などの特定の職務を除けば、王国に黒人はいない。たとえイズドレルに修道院が存在するとしても、世に知られているものではないだろう。 弓兵ゾバルと槍兵クシャラは、ヨロス王ホアラフの目に留まり、選り抜きの戦士として重用される。あるとき王は宦官シムバンに、荒涼のイズドレルで噂される美女を後宮に買い入れる任務を授け、2人は護衛役につけられる。ルバルサという娘の美しさは、ゾバルとクシャラを虜にした。だが帰り道に、「三日月状の黒い影」が、一行の行く手を阻み、取り囲んで「軍隊のような騒音」で威嚇してくる。娘と宦官は怯えて恐慌に陥り、戦士2人がどう対処したものか考えあぐねていると、闇が薄れ始め、どこからかローブの人物が近づいてくる。二本の角がついた紫色の帽子は、大修道院長の証である。誰何すると、黒人はウジュクと名乗り、「プトゥームの修道院の大修道院長」と続ける。ウジュクは、夜は危険なので修道院で持て成すと4人を招待する。ゾバルとクシャラは、黒人の露骨な怪しさと好色さに警戒するも、宦官と娘は申し出に感謝して、渋る戦士2人に受け入れるよう促し、最終的に2人は折れる。4人はウジュクに案内され、巨大な建物へ、次いで食堂へ。戦士2人は武装解除を促されるも断り、食事にも手を付けず、疑念をつのらせる。宦官と娘がようやく、ウジュクが聖者らしからぬと気付き始めたころ、ゾバルとクシャラは、修道士たちの「影」の不自然さを見て取り、大修道院長が魔物であると確実視する。寝室は4人分用意されたが、4人は一室に集まって、寝台にルバルサが、床にシムバンが眠り、ゾバルとクシャラは戸口の外で警護につく。 夜明け方、眠り込んでいた戦士2人は、中庭からの物音で目を覚ます。クシャラは警護を続け、ゾバルが調べに行く。人語の囁きを辿ったゾバルが、地下納骨所への扉を見つけて降りると、ミイラが「わしはプトゥームの大修道院長のウルドルだ」と名乗って語りかけてくる。ウジュクとは、ウルドルが魔物にたぶらかされてもうけた、半人半魔の子であるのだという。ウルドルはゾバルが持つ「善なる魔術矢」で自分を殺してくれるように懇願し、その矢ならば邪悪なる不死をも貫通してウジュクをも殺せると助言する。また、自分の首から下がっている護符は幻術を解除することも教える。ゾバルはウルドルに慈悲の死を与え、地上に出る。仲間たちの声と嫌らしい笑い声を聞いて寝室へと駆けつけると、クシャラの奥の戸口が壁で塞がれていた。魔術で作られた壁の奥からは宦官と娘の声が聞こえてくる。クシャラには何が起こっているのか理解できなかったが、ゾバルが護符を取り出して壁に接触させると壁が消え去り、それどころか全ての幻影が消えて、プトゥーム修道院そのものが廃墟に戻る。シムバンの惨殺死体の奥では、真っ黒な夢魔がルバルサにのしかかっており、彼女は必死で抵抗していた。化物の姿となったウジュクは、2人に向きを変えて敵意を向けてくる。クシャラが槍を構えて飛び出すも、すぐさま12人の修道士が出現し、彼らは人数差でクシャラを制圧する。ゾバルは、修道士たちの奥にいるウジュクに狙いを定め、魔術矢を射ち込む。ウジュクが倒れて身をよじり、動かなくなると、修道士たちは消える。ウジュクの巨体は縮み、腐臭が立ち上る。混乱するクシャラに、ゾバルはウジュクが死んで幻影が解けたことを説明する。ルバルサも混乱していたが傷はないようだ。 危機を経験したゾバルとクシャラは、お互いがルバルサに対して深い恋慕を抱いていることを自覚する。ゾバルは、もう彼女を王のもとには連れて行けないと判断し、外国に逃げることと、2人のどちらが彼女を自分のものにするかを籤で決めようと提案する。負けても真の友には恨みっこなしと、クシャラは同意する。2人は夢魔の死体の五本指を拾い、兜に納めて、籤引きを始める。ゾバルが勝ち、クシャラは悔しがったものの、ルバルサはクシャラを選ぶ。
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