ベトナム文学史要
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「ズオン・クアン・ハム」の記事における「ベトナム文学史要」の解説
本書はベトナム文学の教科書である。編纂概要、略号一覧、結論、表、目録などが付されるほか、本文は48章で構成される。庶民文学、中国の影響、各時代の学術制度、科挙・試験、フランスの影響、書記言語の問題など多くの価値ある部分を含んでいる。 著者はベトナム文学を概括して紹介するために多くの労力を払った。巻末には詳細で行き届いた著者・作品リスト、著者・作品索引がある。 チャン・ヒュー・ターは本書について 研究方法については完全に科学的とまでは言えないが、問題を設定して筋の通った妥当な解決を示している。収集した資料は豊富かつ正確である。本書はベトナム民族の文化の発見と保存にとって積極的役割を果たし…… と語っている。 ヒュー・ゴックは 本書の構造は極めてロジカルではっきりしている。資料の扱いは極めて科学的で、行論もしっかりしており、論理も強固である。文言は(前代の儒者世代の駢文・対句を用いた長い文章と大きく異なって)上品、明晰、簡潔であり、(それは)ズオン・クアン・ハムが現代的な文学史の方法論を会得した儒士であることを証明している…とりわけ、彼は(分類や韻律、特に言語・詩文・チュノム文といった)我々の特色にとても注意を払った。(莫黎時代以降の)各時代において、彼はしばしば漢文とチュノム文の両方について述べている。近現代文学を扱った章では非常に開けた精神を体現している。 2点だけ欠点がある:1/ 著者は数人のフランスの哲学者・作家の具体的影響について、中国の影響について行ったほどには、充分に分析していない。2/著者は魯迅やゴーリキーといった先進的作家に言及せず、反植民地文学や革命文学・共産主義文学についても全く触れていない。これは当然ながら植民地政庁の検閲制度の下で執筆されたからなのだが…… と評価している。
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