プリインストールの利点と欠点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/27 11:20 UTC 版)
「プリインストール」の記事における「プリインストールの利点と欠点」の解説
パソコンにソフトウェアがあらかじめインストールされていることで、ユーザーは必要なソフトウェアを別途ダウンロードや購入後のインストールする手間が省ける。また、プリインストールソフトの種類を幅広いものとすることで、パソコンを購入後、すぐに多岐の目的で利用できる。これと同時に、ソフトウェアメーカーでは、パッケージソフトウェア(単体市販)の製品版と比べパッケージを省略することができ、また販路をパソコンメーカーに依存できることから、市販の製品よりも安価にライセンスを提供する場合もあり、ユーザー側から見ると同等のソフトウェア製品を割安で利用できる利点がある。 以上は通常版のソフトであるが、期間や機能を制限した「体験版」「期間(機能)限定版」などと呼ばれるソフトがインストールされる場合もある。この場合、ソフトメーカーから見た場合には、パソコンは一種の広告宣伝用としてのメディアでもあり、市販品の購入を期待してインストールされる。 しかし、プリインストールソフトの数が多くなるほど、限りあるハードディスクなど電子媒体の記憶容量を圧迫していき、またそれらが常に動作し続ける「常駐ソフトウェア」であれば、CPUリソースとメモリをも圧迫することになり、パソコン自体の処理能力に負荷を生む。2020年代現在ではハードディスクやSSDといった記憶装置やメインメモリもそれぞれ大容量化が進んで改善する傾向にあるが、それに比例する形でアプリケーションソフトウェアもある程度のハードディスクの大容量を必要とするようになっていく傾向もあり、そういった記憶媒体の容量とそこに収めるデータ量のいたちごっこの関係も存在する。 なお、1990年代後半から2000年代初頭にかけてのインターネット利用が進んでパソコンが一般家庭に普及し始めた時代には、特にノートパソコンではハードディスクやメモリの搭載量が少なく(ハードディスクは10GB程度、メモリは32~64MB程度しかなく)、プリインストールされた常駐ソフトウェアだけでメモリリソースを完全に使い切ってしまうような商品も見られた。この傾向は、2000年代後半に入って市場を築き始めたネットブックないしネットトップなどに含まれる製品でも、似たような動向が見出せる。 その一方で、ユーザーの利用目的や環境によっては使われないままのソフトウェアも少なくないうえ、“たくさんプリインストールされているソフトウェアのどれを使用すればいいかパソコン初心者が戸惑う”といったユーザー側の混乱、あるいは“プリインストールされている常駐ソフトウェアの中に紛れてしまい、コンピュータワームなど常駐型マルウェアと判別しにくく発見が遅れる”などといった、かえって快適さから遠ざかる状況を生み出す要因ともなっている。 また、インストールされているOSを最新バージョンへ(例:Windows 7 / 8.1 → Windows 10 のように)アップグレードした場合、旧バージョンのOSで利用できたソフトウェアが、最新バージョンでは利用できなくなるおそれがあるうえ、メーカーのサポート対象外にもなりうる(メーカー製のパソコンではOSのアップグレードおよびクリーンインストールはほとんど想定されていないうえ、最新のOSで利用可能なソフトウェアが提供されない場合もある)。 こうした観点から、不要なソフトウェアを自らの手によってアンインストール(削除)する中・上級ユーザーもみられるが、メーカーオリジナルのソフトウェアはハードウェアの動作に不可欠なデバイスドライバとセットとする形で直結しているのも多く、どれを削除すればよいかわかりづらいなどの混乱も発生しうる。リカバリーディスクから再インストールした場合、OSとソフトウェアが全て付属する形でインストールさせられることもあり、「インストールしたいソフトウェア」と「不要なソフトウェア」を選択できない場合もあるが、メーカーによっては、OSとドライバの含まれた「リカバリーディスク」とプリインストールソフトの含まれた「アプリケーションディスク」に分離し、リカバリー時にユーザーが任意でソフトをインストールできるパソコンも少なからず存在する。
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