ヒメマルカツオブシムシとは? わかりやすく解説

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ヒメマルカツオブシムシ

ヒメマルカツオブシムシ Anthrenus verbasci (LINNE)

ヒメマルカツオブシムシ

形態
 成虫体長約3mm、体は翅鞘表面鱗毛によって灰黄色白色黒色まだら模様呈する幼虫成熟すると体長4mm前後達し淡黄褐色丸みがあり、全体褐色短毛覆われている。卵は淡黄白色長楕円形長径約0.6mm。
被害
 幼虫が、絹織物毛織物羽毛皮革などの衣料繊維加害する。 ナイロンなどの化学繊維や綿なども、汗や食品などで汚染され箇所食害するそのほか蚕繭絹織物動物剥製標本乾物などの乾燥食品ペットフードなども食害する食品混入異物となることもある。
生態
 成虫は、通常は年に1回条件によって2年1回発生になり、4月下旬5月頃に羽化出現する幼虫期間が非常に長く越冬幼虫で行う。野外ではスズメハトなどの鳥の巣から発生している。
 幼虫羊毛や絹などの衣類食害するが、剥製標本乾燥食品からも発生する。外発育経過は、卵期は温度影響され1030日幼虫期通常は約300日であるが、600日以上を要することもある。成熟した幼虫は6~12ヶ月間も絶食絶えられる。幼虫の齢数は通常は6~8齢であるが、5~10齢まで変異が多い。期も温度影響され、7~19日
 成虫羽化後7~10日殻の中に留まり脱出後約10日交尾して、その47日後に全保有卵の約80%を産卵する。光を嫌っていた成虫は、羽化2週間後から、光に向かうように変化し晴天温暖な日には野外活発に飛翔しデイジーマーガレットなどのキク科の花に集まって蜜を吸う。 さらにその後、再び屋内侵入して残った卵を産む成虫寿命は約1ヶ月で、その間20100個の卵を産む安富梅谷1983)。衣類などに数粒~数10粒ずつ産み付ける

ヒメマルカツオブシムシ

和名: ヒメマルカツオブシムシカツオブシムシ科
英名: varied carpet beetle, variegated carpet beetle
学名: Anthrenus verbasci(Linnaeus) [Dermestidae
ヒメマルカツオブシムシ
ヒメマルカツオブシムシ
幼虫(左)、成虫(右)
分布 日本を含む世界共通種。
形態 幼虫茶褐色長毛密生する成虫背面黒褐色黄色白色の3色が混ざり合っている。体長2-3mm。
加害する食品 乾燥食品動物植物製品加害する。
加害形態 成虫幼虫ともに製粉飼料工場等で発見されることが多い。春期成虫ヒメジョオンなどの花に群がる。
防除方法 工場倉庫清掃をよくし、こぼれた食品そのまま放置しない。
その他  

姫円鰹節虫

読み方:ヒメマルカツオブシムシ(himemarukatsuobushimushi)

カツオブシムシ科昆虫

学名 Anthrenus verbasci


ヒメマルカツオブシムシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/25 22:45 UTC 版)

ヒメマルカツオブシムシ
ヒメマルカツオブシムシ Anthrenus verbasci
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目(鞘翅目) Coleoptera
亜目 : カブトムシ亜目(多食亜目) Polyphaga
下目 : Bostrichiformia
上科 : ナガシンクイムシ上科 Bostrichoidea
: カツオブシムシ科 Dermestidae
亜科 : マルカツオブシムシ亜科 Anthreninae
: マルカツオブシムシ属 Anthrenus
: ヒメマルカツオブシムシ A. verbasci (L.)

ヒメマルカツオブシムシは、カツオブシムシ科の昆虫。ごく普通種で乾物毛織物などの害虫で、成虫は花にもよく集まる。

特徴

ヒメマルカツオブシムシ Anthrenus verbasci (L.) は、カツオブシムシ科マルカツオブシムシ属の昆虫である。カツオブシムシ科の中ではごく小型に属する。成虫の体長は約3mm、短い楕円形で体はやや腹背に扁平ながらも厚みがある。背面は細かな鱗状の毛が全体を覆っていて、全体に灰黄色に見える。やや褐色と黒っぽい幅の広い横帯が模様を作る。触角は短くて先端は棍棒状。

幼虫は太めの円筒形で、成熟すると体長4mmに達する。歩脚は胸部の三対があるのみ。ごく短くて体の下に収まる。各体節に多数の立った毛が密生している。また後端の体節には多数の毛が後ろ向きに束になって生える。これらの特徴はカツオブシムシ類全般に共通するが、この種では特に太めに見える。

幼虫

なお、尾端の毛束の毛は槍状毛といわれ、防御の役割があるとされる。敵が触れると切り離して絡みつかせ、アリなどは身動きが取れなくなる[1]

生活史

年一化性で、幼虫で越冬する。3-4月に蛹となり、20-30日で羽化する。は終令幼虫の脱皮殻の中に収まる。

成虫は約10日間、その場にとどまり、そこで交尾と産卵を行う。その後に野外に出て、初夏に花を訪れ、花粉などを餌とする。特に白い花に集まり、マーガレットなどには頻繁に見られる。成虫の寿命は30-50日。

卵は一雌あたり20-100個に達し、餌の間にばらばらに生み付けられる。幼虫は翌年の春まで6-8回、時に10回の脱皮をして成長し、その期間は300日を超える。その間、主として乾燥した動物性の繊維質を食べる。

本種と同様に摂食前に産卵する習性を持つヒメカツオブシムシでの観察では、羽化後に産卵を済ませていなくても日数が経つと走光性が変わって野外に出て、一度野外に出てから屋内に入っての産卵も確認されていない。また、成虫に餌を与えてからの方が産卵数が増している[2]。以上からヒメカツオブシムシとヒメマルカツオブシムシが摂食前に産卵する習性はもとから持っていたものではなく、幼虫の餌が得易い人家に棲む様になってから得られたものだと考えられている[3]

キク科の花に集まる成虫

分布

日本全土に見られ、国外でも世界各地に広く知られる。

天敵

小型のトカゲ類が好んで食べる。また、幼虫を餌とするものにキアシアリガタバチがある。このハチの雌は上述の槍状毛に絡まれることがないという[1]

近縁種等

マルカツオブシムシ属には国内にも他に数種があり、外見ではよく似ているが、人家に出現するのは本種のみである。

幼虫は動物質の繊維角質を食う害虫で、毛糸などの衣類毛皮製品、動物や昆虫乾燥標本剥製などを食害する。古くは製糸工場で繭に被害が出るなど、生糸産業での重要な害虫とされた。これらを食害するのはカツオブシムシ類全般に共通し、同様に家庭内の害虫となる種は他にもいる(ヒメカツオブシムシなど)が、それらが動物質のみを食料とするのに対し、本種の幼虫はセルロースを利用することが出来るため、植物質の製品にも被害が出る例がある。家庭における害虫としては、その食害対象の広さから、特に重要なものとの指摘もある[1]

出典

  1. ^ a b c (安富・梅谷(1995)、p.19
  2. ^ (安富・梅谷(1995)、p.15
  3. ^ (安富・梅谷(1995)、p.18

参考文献

  • 黒澤良彦・久松定成・佐々治寛之編著、『原色日本甲虫図鑑(III)』、(1985)、保育社
  • 安富和男・梅谷献二、『原色図鑑/改訂・衛生害虫と衣食住の害虫』、(1995)、全国農村教育協会



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