ヒメムヨウランとは? わかりやすく解説

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姫無葉蘭

読み方:ヒメムヨウラン(himemuyouran)

ラン科多年生菌根植物高山植物

学名 Neottia asiatica


ヒメムヨウラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/07 10:18 UTC 版)

ヒメムヨウラン
山梨県三ツ峠 2025年6月中旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
: サカネラン属 Neottia
: ヒメムヨウラン
N. acuminata
学名
Neottia acuminata Schltr. (1924)[1]
シノニム
  • Neottia subsessilis Ohwi (1931)[2]
  • Neottia asiatica Ohwi (1931)[3]
和名
ヒメムヨウラン(姫無葉蘭)[4][5]

ヒメムヨウラン(姫無葉蘭、学名Neottia acuminata)は、ラン科サカネラン属の地生の多年草[4][5][6][7][8][9]。葉は退化して無い[8]葉緑素をもたない菌従属栄養植物[4][7]

特徴

外生菌根菌に寄生する[7]根茎は短く、は細く多数束生する。は太さ1.5-2mmと細く、高さは10-20cm、淡褐色から赤褐色になり、無毛である。はなく、茎に3-4個の膜質の鞘状葉がまばらにつき、鞘状葉は長さ2-3cmになり、先は鈍頭になる[4][5][6][7][8]

花期は6-8月。は、茎の上部に総状に10-20個をまばらにつける。花は長さ5mmほどで、淡紅褐色。花の下方の苞葉は長さ1-1.5mm、卵形で膜質、先は鋭頭であるが、花柄に密接して見えにくい。3個の萼片と2個の側花弁は卵状広披針形でほぼ同長、長さ約3mmになり、1脈あり、開出し、先端にかけて反曲する。唇弁は萼片とほぼ同長で、三角状卵形で先は鈍頭、3脈あり、先側は縁が内側にめくれている。蕊柱はごく短く、花粉塊は粉状になる[4][5][6][7][8]。花が倒立していて咲くため、通常のラン科植物と異なり、唇弁が上方に位置する[7][8][9]

分布と生育環境

日本では、北海道、本州の中部地方以北に分布し、亜高山帯の針葉樹林の林床に生育する[4][5][6][7][8][9]。世界では、サハリン、ウスリー、カムチャツカ半島朝鮮半島台湾中国大陸からヒマラヤに分布する[6][7][8]

名前の由来

和名のヒメムヨウランは、「姫無葉蘭」の意[4][5]で、牧野富太郎 (1900) による。牧野は、植物学者の大久保三郎が1898年に日光で採集した標本をもとに、この和名をつけた[10][11]。小さくて無葉であることに由来し、ムヨウラン属 Lecanorchis とは関係はない[7]

種小名(種形容語)acuminata は、「先が次第にとがる」の意味[12]

種の保全状況評価

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通りとなっている[13]。 北海道-絶滅危惧II類(Vu)、栃木県-準絶滅危惧(Cランク)、群馬県-絶滅危惧IA類(CR)、埼玉県-絶滅危惧IA類(CR)、神奈川県-絶滅(EX)、富山県-情報不足、山梨県-絶滅危惧II類(VU)、長野県-絶滅危惧II類(VU)、静岡県-絶滅危惧II類(VU)。

ギャラリー

脚注

  1. ^ ヒメムヨウラン「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ ヒメムヨウラン(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ ヒメムヨウラン(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c d e f g 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.108
  5. ^ a b c d e f 『新分類牧野日本植物図鑑』p.253
  6. ^ a b c d e 『原色日本植物図鑑 草本編III(改訂版)』pp.33-34
  7. ^ a b c d e f g h i 末次健司 (2015)「ヒメムヨウラン」『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプランツ 増補改訂新版』p.515
  8. ^ a b c d e f g 遊川知久 (2015)「ラン科」『改訂新版 日本の野生植物1』p.216
  9. ^ a b c 中島睦子 (2012)『ラン科植物図譜』pp.152, 341-342
  10. ^ 牧野富太郎「日本植物調査報知第二十七囘○さかねらんの新産地」『植物学雑誌 (The Botanical Magazine)』第14巻第162号、東京植物学会、1900年、184頁、doi:10.15281/jplantres1887.14.162_183 
  11. ^ T. Makino「Observations on the Flora of Japan. (Continued from p. 173.)」『植物学雑誌 (The Botanical Magazine)』第16巻第188号、東京植物学会、1902年、177頁、doi:10.15281/jplantres1887.16.188_175 
  12. ^ 『新分類牧野日本植物図鑑』p.1482
  13. ^ ヒメムヨウラン、日本のレッドデータ検索システム、2025年8月19日閲覧

参考文献



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