パーマカルチャーの原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 07:31 UTC 版)
「パーマカルチャー」の記事における「パーマカルチャーの原理」の解説
パーマカルチャーの原理はシステム思考やデザイン思考と呼ばれる世界観から生まれており、自然と産業化以前の持続可能な社会を観察することで普遍な原理が抽出できるという考えに基づいている。パーマカルチャーのデザイン原理は生態学、特にハワード・オーダムなどのシステム生態学に基づくとされ、環境地理学や民族生物学などにも影響を受けた。 これらの原理は、これからの脱産業化社会において土地や資源を持続可能に利用する際、世界のどこにでも適用できると考えられている。パーマカルチャーの原理は簡潔な文章やスローガンで表される。これらの原理は、さまざまな選択肢を検討する時にチェックリストとして利用される。原理は万国共通に当てはまるが、その具体的な適用はそれぞれの場所や状況により、大きく異なる。ホルムグレンは「パーマカルチャーの花」で個人、経済、社会、政治の再編成にもこれらの原理が有効であるとしている。 パーマカルチャーの原理が最初から重要視されていたわけではなく、『パーマカルチャー・ワン』では「パーマカルチャーの木」と呼ばれる図が原理を紹介するために用いられ、デザイン理論とその適応例が紹介されるにとどまっていた。デザイン原理をモリソンが初めて提示するのは1991年に出版されたレニー・スレイとの共著『パーマカルチャー:農的暮らしの永久デザイン』(農文協、 田口 恒夫、小祝 慶子訳)においてである。このリストはアメリカ人パーマカルチャー教師、ジョン・キネイが作成したもので、それ以降、広く使われるようになった。ホルムグレンは『パーマカルチャー』で、次の12のデザイン原理を掲げている。ホルムグレンは「パーマカルチャーが新しい思想であり、まだ、発展途上にあることを考えれば」と断った上で、「このリストは有効ではあるが、不断の見直しが必要で、さらに明晰にしていかなければ、創造的な解決方法をさっと見つけ出す助けにはならない」と、それを盲目的に教条的にとらえることを戒めている。 【原理1】 まず観察、それから相互作用 【原理2】 エネルギーを獲得し、蓄える 【原理3】 収穫せよ 【原理4】 自律とフィードバックの活用 【原理5】 再生可能な資源やサービスの利用と評価 【原理6】 無駄を出すな 【原理7】 デザイン――パターンから詳細へ 【原理8】 分離よりも統合 【原理9】 ゆっくり、小さな解決が一番 【原理10】 多様性を利用し、尊ぶ 【原理11】 接点の活用と辺境の価値 【原理12】 変化には創造的に対応して利用する
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