ハンティントン指揮下での鉄道建設
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「チェサピーク・アンド・オハイオ鉄道」の記事における「ハンティントン指揮下での鉄道建設」の解説
南北戦争のあと、ウィリアムズ・カーター・ウィッカム(Williams Carter Wickham)社長率いるバージニア・セントラル鉄道の従業員たちは、南部の壊滅的な経済を建て直し、イギリスを味方につけるためには、株を自分たちで所有しなければならないと悟った。そしてついに、彼らは鉄道王の一人、コリス・ポッター・ハンティントン(Collis Potter Huntington)をニュー・ヨークから招聘することに成功した。ハンティントンは大陸横断鉄道の一部であるセントラル・パシフィック鉄道を作ったビッグ・フォーと呼ばれる4人の鉄道王の一人であり、そのとき既に大陸横断鉄道は完成していた。ハンティントンは、ひとつの鉄道事業者が東海岸から西海岸への大陸横断鉄道を経営すべきである確固たるビジョンを持っており、バージニア・セントラル鉄道を、その東部のシステムとして機能させようとした。 ハンティントンはバージニア・セントラル鉄道にオハイオ川まで延伸する資金を提供した。アレゲーニー高地越えを目指してコビントンから西へ建設していたが、南北戦争により工事が中断していたコビントン・アンド・オハイオ鉄道が所有していた土地等は、彼らに譲渡された。これは植民地時代にグレート・コレクションと呼ばれていた大きな夢であった。 1867年7月1日、コビントン・アンド・オハイオ鉄道はジャクソン川駅(のちのクリフトン・フォージ)とコビントン(アレゲーニー郡の郡庁所在地)とを結ぶ鉄道を開業した。1869年にはアレゲーニー山脈を越え、ホワイト・サルファー・スプリングスに達した。道中には多数のトンネルが穿たれ、またコビントン・アンド・オハイオ鉄道が南北戦争以前に建設したルートが利用された。ここから馬車に乗り換えてチャールストンへと向かうルートが整備された。 1869年から1873年にかけて、ウェストバージニア州横断ルートが両側から多大な労力を動員して建設された。両端とは、東側はオハイオ川沿岸の新たな都市であるハンティントン市であり、西側はホワイト・サルファーである。横断ルートは、ニュー川渓谷のホークス・ネストで1873年1月28日に結合された。付近のルート19の橋、ニュー川渓谷橋(New River Gorge Bridge)は、川沿いを走るCSXを高低差267m(876フィート)でまたいでおり、アメリカでは1番、世界でも2番目に高い橋である。 ウェストバージニアでの鉄道建設は、蒸気機関の機械と肉体による作業を競ったという伝説上の人物、ジョン・ヘンリーを生みだした。競争が行われた場所は、タルコットの南のトンネルだと言われている(詳細はジョン・ヘンリーの項目を参照)。 この時期にコビントン・アンド・オハイオ鉄道を建設した典型的な人物として、ウィリアム・ペイジという市井のエンジニアが挙げられる。彼は、鉄道建設に就く前にバージニア大学でその技術を修め、1871年と翌年にはニュー川渓谷に架ける橋の位置選定と建設の指揮をとり、1874年にはミル・クリーク渓谷橋を、1875年と翌年にはハンプトン・ローズから、ニュー川とカナワ川の谷を経由してオハイオ川までの間に複線を建設するための測量隊を率いた。 ペイジは、ウェストバージニアの自然の美しさとその秘めた可能性に圧倒され、また精力的にウェストバージニアの豊富な瀝青炭田を開発し、成功した人物と考えられている。ペイジはホークス・ネスト近くのアンステッドの小さな山村に居を構えた。コビントン・アンド・オハイオ鉄道が狭い谷の両岸を占領しているニュー川を見下ろす位置であった。 コリス・ハンティントンはコビントン・アンド・オハイオ鉄道を彼の西部および中西部の持株会社に接続しようとしたが、まだ多くの鉄道が建設途中であり、そのための資金を必要としていた。彼は建設をオハイオで中止し、以後数年、鉄道建設はしなかった。西部とつながる唯一の手段はオハイオ川で運用されている小さなボートであった。地域の豊富な埋蔵資源はまだ認知されていなかったため、コビントン・アンド・オハイオ鉄道は1873年の金融恐慌により二度目の破産となり、1878年には管財管理下におかれた。再編時に、会社名をチェサピーク・アンド・オハイオ鉄道へと改称した。
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