ナカダ2期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/06 09:11 UTC 版)
ナカダ2期の彩文土器の表面には、雄牛の姿をした女性の姿をした旗印を掲げた何隻かの舟が描かれており、そこでは、この女神は、人間の頭と雌牛の角とを持った雌牛の姿をとって、その息子であり愛人でもある若い配偶者を伴っている。彼は、後の時代になると、「彼の母の雄牛」として知られ、王朝時代に入り、彼が豊饒の神であるミン神に発展したのではないかと言われている。先王朝時代の容器の一つには、彼らの神聖な結婚の様子が描かれており、一方儀式の踊りが描かれていたものもあり、これは古代の豊作を祝う祭の場面と思われる。この女神もその配偶者も共に、おそらくは、土地の豊饒や穀物、住民たちなどと密接な関係を持つ神々と見なされていたのであろう。彼らは、生命や死、再生の円環を通じて、来世における生活にも力を持つものと考えられていたようである。 また、この時期から支配者達が特別な力を持つ魔術師として見なされていたことを示していると思われる、いくつかの道具類が大きな墓から発見されている。しかし発見された道具類が、どのように使用されていたのか具体的に知ることはできない。 同時代の終わり頃、政治や宗教において異なる習慣を持った人々を統一し、国家統一への土台を気付いた。それぞれの地域の人々は、一人の首長によって支配され、偶像や象徴の形で表現されていた独自の神を崇拝していた。 その中にあっても、南北両地域で信仰された神々も存在した。しかし政治が発展し、村落が集まって部族を形成し、ノモスという地域に発展した結果、部族の神々が寄り合わさり、ある神は同化し、ある神は他神の追従者となり、ある神は消失していった。 北の王国(下エジプト)は、デルタ地方に中心に治めていた。王国の中心は、コブラの女神ウアジェトが崇拝されていたデプの町(後のブト)の近くのペの王宮であった。赤い国として知られており、その支配者は赤い冠を戴いていた。 南の王国は、アトゥフィーフからジャバル・アル・シルシラまでを治めていた。白い国として知られた南の王国の首都は、エドフの近くネケン(後のヒエラコンポリス)にあり、その守護神はハゲワシの女神ネクベトであった。南の支配者は白い冠を戴いていた。 統一後も、王はこれらの王冠を戴いていた。王冠は、時と場合に応じて被り分けられたり、王の力が南北に行き渡っていることを示すために、二つの王冠を組み合わせた二重王冠を付けたりした。また、国家統一後、ウアジェト女神とネクベト女神は、エジプト王家の守護神となった。 また、南北両地域において、人々が死後を信じる独特の信仰を発展させていったこと、そして、この死後の生活は現世の生活とほぼ同じように考えられていたことなどが明らかとなっている。
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