デジタルVTR
【参】付図−29
・D-1
デジタルコンポーネント方式VTR。3/4インチオキサイドカセットテープを使用。コンポーネント輝度信号(Y)を13.5MHz、2つの色差信号(Cb, Cr)をそれぞれ6.75MHzでサンプリングした4:2:2信号方式に基づいた最初のVTR。輝度信号、色信号が別々に広帯域で処理されるため、クロスカラー等のない高画質処理が可能である。また同一フォーマット同士のダビングは画質劣化がない。カセットにはS, M, Lの3種類があり、テープの最長記録時間は94分。
【参】4:2:2
・D-2
デジタルコンポジット方式VTR。3/4インチメタルカセットテープを使用。コンポジット信号をサンプリング周波数14.3 MHzでデジタル信号記録再生が可能。コンポーネント方式VTRのD-1に比べコンパクトである。カセットはD-1と同じS,M,Lの3種類があり、テープの最長記録時間は208分。
デジタル信号の規格化はコンポーネント信号から進められたが、実用上はコンポジット信号の方が使いやすく、ソニー、アンペックス両社で開発され、SMPTEがD-2フォーマットとして承認した。
・D-3
デジタルコンポジット方式VTR。1/2インチメタルカセットテープを使用。D-2と同じサンプリング周波数14.3MHzのデジタルコンポジット信号を記録再生可能。カセットはS, M, Lの3種類があり、テープの最長記録時間は245分。
取材から送出までをカバーできる1/2インチカセットを用いた方式として、NHKと松下電器産業が共同開発した。
・D-5
デジタルコンポーネント方式VTR。1/2インチメタルカセットテープを使用。4:2:2信号方式での記録再生が可能。量子化ビット数は8ビットの他に10 ビット、サンプリング周波数も13.5MHzだけではなく、 18MHzが可能(10ビットと18MHzの同時は不可)。カセットはS,M,Lの3種類があり、テープの最長記録時間は124分。D-3の規格をベースに、1/2インチカセットを用いたデジタルコンポーネント信号記録方式として松下電器産業が開発。また、オプションを使用してD-3VTRで記録されたデジタルコンポジットテープ全種類がそのまま再生可能。
・HDD5
HDTV のデジタルコンポーネント方式デジタルVTR。 D-5と同じ1/2インチメタルカセットテープを使用。 HDTVコンポーネントの輝度信号(Y)を74.25MHz、2つの色差信号(Cb,Cr)をそれぞれ37.125MHzでサンプリングした信号を約1/4圧縮して記録する。量子化ビット数は8および10ビット。D-5と同じカセットで、テープの最長記録時間は124分。
D-5にHDTVのデジタル圧縮・伸長機能を追加して、 HDTV信号の記録再生を可能にしたもの。松下電器産業が開発。
・D-6
DTV のデジタルコンポーネント方式デジタルVTR。 3/4インチメタルカセットテープを使用。HDTVコンポーネントの輝度信号(Y)を74.25MHz、2つの色差信号(Cb,Cr)をそれぞれ 37.125MHzでサンプリングした信号を非圧縮で記録する。量子化ビット数は8ビット。カセットはD-1と同じS, M, Lの3種類があり、テープの最長記録時間は64分。
D-2の規格をベースに、東芝とドイツBTS社(現在のBTSメディアソリュージョンズ)が共同提案した。
・D-9(DIGITAL S)
デジタルコンポーネント方式VTR。VHSサイズの1/2インチメタルカセットテープを使用。4:2:2方式の画像信号を約1/3.3に圧縮して記録する。テープの最長記録時間は124分。
S-VHSの再生も可能。日本ビクターが開発。
・DVCAM
デジタルコンポーネント方式VTR。1/4インチメタルカセットテープを使用。画像信号は、民生用DVフォーマットと同様、4:1:1方式(走査線数525 本時)、約1/5に圧縮して記録する。カセットは「ミニ」と「スタンダード」の2種類があり、テープの最長記録時間は184分。
民生用DVフォーマットをもとに、トラックピッチを拡大し、編集上の信頼性向上を図っている。ソニーが開発。DVフォーマットで記録したビデオを再生可能。
【参】DVフォーマット
・DVCPRO
デジタルコンポーネント方式VTR。1/4インチメタルカセットテープを使用。画像信号は、民生用DVフォーマットと同様の4:1:1方式(走査線数525本時)で、約1/5の圧縮記録。カセットはM,Lの2種類があり、テープ最長記録時間は184分。
民生用DVフォーマットをもとに、トラックピッチの拡大及びメタル塗布型テープを使用することにより、編集上の信頼性向上を図っている。松下電器産業が開発。DVフォーマットで記録したビデオを再生可能。
同フォーマットの展開型として、DVCPRO 50、 DVCPRO P、DVCPRO HDがある。
SMPTE規格での呼称は、D-7。
【参】DVフォーマット
・DVCPRO 50
デジタルコンポーネント方式VTR。DVCPROをベースに、データ記録レートを2倍に上げ、高画質化を図ったもの。画像信号は、4:2:2方式で、約1/3.3の圧縮記録が可能。テープの最長記録時間は92分。 DV、DVCPROフォーマットで記録したビデオを再生可能。
・DVCPRO P
デジタルコンポーネント方式VTR。DVCPRO 50をベースに、480pプログレッシブ画像信号の記録・再生に対応したもの。
データ記録レートは、DVCPRO 50と同じで、テープの最長記録時間は92分。DV、DVCPRO、DVCPRO 50フォーマットで記録したビデオを再生可能。
・DVCPRO HD
HDTV のデジタルコンポーネント方式VTR。DVCPROをベースに、データ記録レートを4倍に上げ、HDTV対応を図ったもの。DVCPROと同様1/4インチメタルカセットテープを使用。HDTVコンポーネントの輝度信号(Y)を74.25MHz、2つの色差信号(Cb,Cr)をそれぞれ37.125MHz でサンプリングした信号を画素数1280×1080に変換したのち、約1/6.7圧縮記録する。カセットは、Lサイズで、テープの最長記録時間は46分。DV、DVCPRO、DVCPRO 50、DVCPRO Pフォーマットで記録したビデオを再生可能。
・HDCAM
HDTV のデジタルコンポーネント方式VTR。1/2インチメタルカセットテープを使用。HDTVコンポーネントの輝度信号(Y)を74.25MHz、2つの色差信号(Cb,Cr)をそれぞれ37.125MHzでサンプリングした信号を約1/7圧縮記録する。カセットはM, Lの2種類があり、テープの最長記録時間は124分。
・HD1D(1インチHD)
HDTV のデジタルコンポーネント方式VTR。1インチメタルオープンリールテープを使用。HDTVコンポーネントの輝度信号(Y)を74.25MHz、2つの色差信号(Cb,Cr)をそれぞれ37.125MHzでサンプリングした信号を非圧縮記録する。14インチリールテープの最長記録時間は96分。
・デジタルベータカム Digital Betacam
デジタルコンポーネント方式VTR。1/2インチメタルカセットテープを使用。4:2:2方式の画像信号を約1/2に圧縮して記録する。量子化ビット数は10ビット。カセットはS, Lの2種類があり、テープの最長記録時間は124分。アナログのベータカムをベースに、ENG分野におけるデジタル化実現のため、ソニーが開発、1993年に商品化。通称「デジベタ」「デジベ」といわれている。アナログベータカムで記録されたテープの再生機能を持つ機種もある。
【参】ベータカム(SP)
・ベータカムSX Betacam SX
デジタルコンポーネント方式VTR。1/2インチメタルカセットテープを使用。4:2:2方式の画像信号をMPEG-2で2フレーム単位に約1/10圧縮して記録する。カセットはS,Lの2種類があり、テープの最長記録時間は194分。
ハードディスクサーバーでの画像編集や蓄積、伝送用にデータの転送レートを抑え、かつ十分な画質を保つことを目的として、ソニーが開発。1996年に製品化し、主にニュース取材・編集用に用いられている。
【参】デジタルベータカム
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