デザイン経営との関連性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 20:39 UTC 版)
「オウンドメディアリクルーティング」の記事における「デザイン経営との関連性」の解説
オウンドメディアリクルーティングを実践するにあたり、デザイン経営の視点を取り入れる企業もある。背景には、現在の採用マーケットが“超売り手市場”で、求職者が採用の主導権を持っていることと、社会が急速にデジタル化していることがある。 昨今は、人材獲得競争が加速し、求職者優位の時代になっており、求職者が抱く“企業への印象”が採用活動に大きな影響を及す。その結果、企業が欲しい人材を獲得できる“採用力”を持つために、採用はもちろん、すべての企業活動を通じて、求職者の“自社への印象”をデザインすることが求められている。 また、デジタル化の浸透によって、企業が自社のイメージを求職者に伝える環境が大きく変わった。デザイン・イノベーション・ファームTakramの代表である田川欣哉は、デジタル化がもたらした変化を以下のように語る。 「インターネット時代の今では、各社がWebサイトを持ち、自分たちの伝えたいことを自由に表現できます…採用の話も同様で、これまでは扱える情報量が限られていたので、仕事の概要や年収・福利厚生といった、他社と比較できるような情報を出すしかなかった。でも画一的なコミュニケーションに捉われなくてもよくなった今は…『その企業で働く自分』を想像させたり、友人がその企業で働いているかのような感覚を覚えたりするコミュニケーションを、万人に向けてできるようになったのです」(田川)。 その結果、「企業が自社のブランドのポジショニングを明確にして、ミッションやビジョン・社員のスタイルが、外から見てもはっきりしているような、透明性の高い状態をつくること」(田川)で、求職者が持つ自社への印象をデザインすることが重要になったのだ。 デザイン経営が、ユーザー視点に立ってソリューションを考えるアプローチを取ることも重要な点だ。経済産業省・特許庁が発表した『「デザイン経営」宣言』では、企業活動におけるデザインの役割として、以下の2つを挙げている。 デザイン・フォー・イノベーション デザインの役割の一つで、顧客をじっくり観察してその心の動きを洞察し、コンシューマーインサイト[要曖昧さ回避]を発見すること デザイン・フォー・ブランディング デザインの役割の一つで、製品・サービスや事業のコンセプト、そして企業のあり方を、誰もが直感的に理解できるようビジュアライズすること A.T.カーニー 日本法人会長である梅澤高明は、「そもそも採用活動を『採用される側』の立場に立って真剣に問い直すことに、まだ多くの企業は手をつけていない。だからこそ『デザイン・フォー・イノベーション』、『デザイン・フォー・ブランディング』の2つの考え方を人材採用に当てはめると、人材獲得競争力に劇的な変化をもたらす可能性があります」と、デザイン経営のアプローチが人材採用に適用できると語っている。 さらに梅澤は、「その企業が表向き掲げているビジョンやミッションだけでなく、本当のところ、何が強みの会社なのか、どんな進化をしていこうと取り組んでいるのかなどを、求職者はきちんと知りたいはず。その上で、どんな職種でどんな能力を持つ人を採用したいのかを明確に説明して欲しい。ジョブディスクリプションや人材要件も、今後は明示していくべき情報でしょう」と、デザイン経営の考え方を取り入れて効果的な採用を行うことと、オウンドメディアリクルーティングの共通点について語っている。
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