タイプの種類とは? わかりやすく解説

タイプの種類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/23 14:24 UTC 版)

タイプ (分類学)」の記事における「タイプの種類」の解説

原記載中での扱われ方によって、タイプ複数種類分類される何らかの形で原記載寄与した一連の複数標本を、タイプシリーズと呼ぶことがある。なお、ICZNでは後述する「ホロタイプ」「レクトタイプ」「シンタイプ」「ネオタイプ」の4タイプ学名の定義に直接関与するものとして「担名タイプ (name-bearing type)」と呼んでいる。 ホロタイプ (holotype) 【動】【植】【原】 【動】【植】では正基準標本、あるいは正模式標本、【原】では正基準著者が種または種内分類群学名記載するにあたり、その原記載の中でただ1つ明示的に指定され標本のこと (ICBN13 9.1) (ICNB1990)。動物植物では、もし2つ上の標本指定され場合、それらはいずれパラタイプとなる。学名拠り所となる絶対的な標本で、ホロタイプ現存する限り、その生物学名はこれを基準決定されるホロタイプ培養場合は、その重要性考慮して分割し複数機関寄託することが勧められている (ICBN13 勧告8B1)。 レクトタイプ (lectotype) 【動】【植】 選定基準標本原記載ホロタイプ指定されなかった場合ホロタイプが行不明場合もしくはホロタイプに二種類上の生物混じっていた場合に、新たに選び直されたり作り直されたりした標本のこと (ICBN13 9.2)。アイソタイプシンタイプ、アイソシンタイプ、パラタイプいずれか残っている場合には、これらの中からこの優先順位選出することになる (ICBN13 9.10)。 アイソタイプ (isotype) 【植】 副基準標本ホロタイプ全ての重複標本それぞれを指す (ICBN13 9.3)。重複標本とは、ホロタイプ一緒に採集され同時に作られ標本のこと。ホロタイプ同一生物個体由来するかどうかは関係がない (ICBN13 8.3)。また、ホロタイプ一部としてラベルその旨記述され標本であってもホロタイプ主幹為すパーツとは別の機関保管されているとホロタイプとしての地位失いアイソタイプ扱いとなる。 シンタイプ (syntype) 【動】【植】 等価基準標本原記載時にホロタイプ指定されなかった場合、その論文中で引用され全ての標本シンタイプとなる (ICBN13 9.4)。また、タイプとして同時に複数標本指定され場合、それらはホロタイプではなくシンタイプとなる (ICBN13 9.4)。 アイソシンタイプ (isosyntype) 【植】 副等価基準標本シンタイプ重複標本それぞれを指す。 パラタイプ (paratype) 【動】【植】 従基準標本原記載論文引用され標本のうち、ホロタイプアイソタイプシンタイプのいずれにも該当しないもの (ICBN13 9.5)。つまり、原記載複数標本登場したときに、タイプ複数指定されシンタイプとなった標本残りパラタイプである。 アロタイプ (allotype) 【動】 パラタイプのうち、ホロタイプとは異な性別である個体標本ICZN勧告中(ICZN4 勧告72A)で使用認められている。 ネオタイプ (neotype) 【動】【植】【原】 【動】【植】では新基準標本、【原】では新基準。ある生物、またはある分類群原記載拠り所とした全てのタイプ標本その他の資料が行不明となったときに、原記載手がかりとして全く新規に作られ標本のこと (ICBN13 9.6)。ネオタイプ指定は他のタイプ標本消滅条件であり、レクトタイプになる可能性があるタイプ残っている場合新たにレクトタイプ選び出す作業優先され、この時ネオタイプ設けてならない (ICBN13 9.10)。なお、誤って元のタイプと違う生物ネオタイプとして指定してしまった場合には、これを訂正してよい (ICBN13 9.16)。 パラレクトタイプ (paralectotype) 【動】 かつてシンタイプであった標本だが、その中の別の1つレクトタイプとして指定されたためにシンタイプ地位失ったもの (ICZN4 glossary)。 エピタイプ (epitype) 【植】 ホロタイプレクトタイプネオタイプなどの担名タイプだけではどうにも生物同定進められないとき、その分類的作業を補う目的新たに作られ標本のこと (ICBN13 9.7)。エピタイプを指定するときは、その作成理由となったダメタイプ標本明言しなければならない (ICBN13 9.7)。ネオタイプとは違い、他の標本消滅条件とせずに作成することが可能であるが、あるタイプに対して同時に2つ上のエピタイプを設けることはできない (ICBN13 9.18)。 クロノタイプ (clonotype) 【植】 タイプ標本作成する際にその個体種子などを保存しておき、それを元に育てた植物体の標本、または植物自体をこう呼ぶ。 クロノタイプ命名規約正式に扱われる語ではないが、しばしば植物学文献登場する。 ハパントタイプ (hapantotype) 【動】 生物生活環の中での各ステージ揃え単一標本したもの (ICZN4 73.3)。原生生物でのみ有効なタイプで、普通の生物ホロタイプ相当する (ICZN4 73.3)。原生生物という性質上、1枚プレパラート収められる場合が多い。ハパントタイプは必然的に複数個体から成るが、その各々全ての個体ホロタイプ同列扱いを受けるため、その中からレクトタイプ選んだはしない (ICZN4 73.3.1)。また、ハパントタイプにコンタミネーションがあった場合は、これを除去することも可能である (ICZN4 73.3.1)。 コタイプ (cotype) 【動】 かつてシンタイプパラタイプの意味用いられていたが、現在では使われていない (ICZN4 glossary)。 ジェノタイプ (genotype) 【動】 「geno-」は「genus」であり、かつては「タイプ種の意味用いられていたが、「遺伝子型」(geno- = gene) としての用法定着すると共にICZNでは用いられなくなった (ICZN4 glossary)。 参考 (reference strain) 【原】 正基準や新基準ではないが、分類学血清学などの比較研究や、化学物質定量用いられる菌株 (ICNB1990)。 なお、これらのタイプのほかにも分類学歴史の中で命名規約には規定されていない様々なタイプ」が定義され用いられてきた分野もある。特に動物分類学では 100超える多く非正規タイプ使われている。

※この「タイプの種類」の解説は、「タイプ (分類学)」の解説の一部です。
「タイプの種類」を含む「タイプ (分類学)」の記事については、「タイプ (分類学)」の概要を参照ください。

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