スペイン異端審問の開始とは? わかりやすく解説

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スペイン異端審問の開始

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 00:58 UTC 版)

スペイン異端審問」の記事における「スペイン異端審問の開始」の解説

カスティーリャ王国イザベルアラゴン王国フェルナンド2世結婚1469年レコンキスタの完了1492年)により、スペイン待望統一王権誕生したフェルナンド2世にとって国内一致のためにも、表面上はキリスト教改宗しながら実際に自分たちの信仰守っていたモリスココンベルソ存在が邪魔なものになっていた。フェルナンド2世異端審問システム用いれば、これらの人々排斥し政敵打ち倒すことができると考えた。さらにフェルナンドユダヤ人金融業者から多額債務負っていたため、もし金融業者たちを異端審問によって社会的に抹殺できれば債務帳消しになるという思惑もあった。 フェルナンドローマ教皇親交深めることで自らの王権強化しよう考えていたが、同時に教皇影響力自国からできる限り排除したいとも思っていた。異端審問はすべて教皇管轄下で行われるため、もしフェルナンドスペイン国内で異端審問行って自分思い通りにはできず、教皇庁介入を許すことになる。フェルナンド異端審問を自らの政治目的沿って利用するためにも、教皇監督行為排除した異端審問行いたい考えていた。そこでスペインにおいて王の監督のもとに独自に異端審問を行う許可教皇シクストゥス4世願った教皇は当然、世俗権力によって異端審問政治的に利用されることの危険性察知し、なかなか首を縦に振ろうとしなかった。そこでフェルナンドさまざまな方策用いて、この許可得ようとした。ここで活躍したのがスペイン人枢機卿ロドリゴ・ボルハであった彼の奔走甲斐もあって、1478年教皇しぶしぶながらカスティーリャ地方以外においてのみ独自の異端審問を行うことを許可した。(これによってボルハ枢機卿後年コンクラーヴェスペイン王強力な後押しを受けることができた。彼こそが堕落した中世教皇筆頭あげられるアレクサンデル6世である。) こうしてユダヤ教徒イスラム教徒狙い定めたフェルナンドイザベルによって異端審問所長官任命されたのがトマス・デ・トルケマダである。そもそも異端審問というものは、「キリスト教徒ありながら正し信仰持っていないもの」を裁くためのものであり、ユダヤ教徒イスラム教徒をその信仰ゆえに裁く権利はなかった。しかし初期スペイン異端審問所は、一旦改宗しながらユダヤ教イスラム教習慣を守るコンベルソモリスコ多く裁いた。 シクストゥス4世セビリアから始められスペイン異端審問ユダヤ人に的をしぼって行われていることに見かねて抗議したが、フェルナンド王が自らの支配下にあるシチリア王国兵力による教皇庁への支援打ち切りほのめかして恫喝したため、引き下がらざるを得なかった。教皇としてフェルナンド王の行きすぎた行動や見境のない処罰キリスト教異端審問名を借りて行われていることを看過できず、スペイン異端審問を「ユダヤ人財産狙い行為である」と断言している。「もっともカトリック的な王」という称号とは裏腹にフェルナンド教皇徹底的に利用し教皇に対して従順装いながらも強圧的に臨んでいた。教皇フェルナンド要求断れなかった背景には当時地中海情勢がある。勢い盛んだったオスマン帝国ギリシア支配下においてイタリア本土脅かし始めたのだ。教皇領イタリア半島の安全はシチリア王国軍事力によって保障されていた。シチリア王国の主でもあるフェルナンドはこれを対教皇折衝切り札としていたのである教皇フェルナンド要求を飲まざるを得ない状況追い込まれた。こうしてスペイン異端審問教皇正式なお墨付き得たフェルナンドは、教皇干渉なしに自由に異端審問利用できるようになった

※この「スペイン異端審問の開始」の解説は、「スペイン異端審問」の解説の一部です。
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