スバル・リニアトロニックCVT: TR690型およびTR580型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 03:48 UTC 版)
「SUBARUのトランスミッションの一覧」の記事における「スバル・リニアトロニックCVT: TR690型およびTR580型」の解説
2009年、スバルは5代目レガシィ/レガシィアウトバックおよびエクシーガに「リニアトロニック(Lineartronic)」と名付けた新改良CVTを搭載した。リニアトロニックは金属チェーンを使用したプーリー(滑車)型CVTであり、プーリーシステムの単純さと金属チェーンの耐久性から最も信頼性が高いと考えられている。加えて、金属チェーン・プーリーシステムは一般的に他のCVT設計よりも静かである。金属チェーンは、アウディのマルチトロニックCVT(1999年発表)と同様に、ドイツ・シェフラー・グループ(英語版)のルーク(LuK)(ドイツ語版)社から供給を受けている。金属チェーン式は金属ベルト式よりも巻き掛け半径が小さくできるために変速機の変速比幅(レシオ・カバレッジ)をより広く設定でき、伝達効率と燃費性能をより高めることができる。 高容量(TR690型、第1世代)と中容量(TR580型、第2世代)の2種類があり、前者は「スポーツリニアトロニック」と呼ばれている。第2世代のTR580型の方がTR690型よりも100 mm短く、15%軽い。 マイルドハイブリッド(e-BOXER)用のリニアトロニックは中容量型を基にプライマリープーリー後部を100 mm延長し、その延長部分上部にモーターが、下部に湿式多板の出力クラッチが納められている。 米国では、リニアトロニックはアウトバック、レガシィ、フォレスター(2014年)の2.5iエンジン、インプレッサおよびXV(クロストレック)のFB20エンジンで利用可能である。東南アジアでは、2010年以後のレガシィで利用可能である。スバルは本トランスミッションが「最適なレブレンジにエンジンを保ちながら燃料効率を最大化する途切れることのない力」を与える、と主張する。 リニアトロニックはエンジンとトランスミッションを接続するために特別に改良されたトルクコンバータを使用する。従来型のトルクコンバータのように滑ることができるが、非常に低速での巡行時を除く全ての条件下でロックし続ける。加速時にロックアップ状態が持続することで、クラッチの効率性と制御性を確保しつつ、従来の遊星式オートマチックトランスミッションと同様の動作を実現している。マニュアルモード(6、7、または8速)付きのモデルではパドルシフトを使って手動で変速比を制御することもできる。 変速比幅は以下の通り。 TR690TR580TR580(HV)(TH58)6.3(2009年) 6.3(2011年) 6.3(2013年) 6.4(2012年) 7.0(2016年) 7.0(2018年) 6.9(2018年) 8.1(2019年) TR690(最大許容入力トルク400 N•m)2010-2012 レガシィ/アウトバック 2.5L NA 2015-2019 レガシィ/アウトバック 3.6L NA 2014-2020 フォレスター 2.0L ターボ 2014-2020 レヴォーグ 2.0L ターボ 2015-2020 WRX 2.0L ターボ 2019-2020 アセント 2020- レガシィ/アウトバック 2.4L ターボ TR580(最大許容入力トルク250 N•m、300 N•m)2013-2020 レガシィ/アウトバック 2.5L NA 2012- インプレッサ 1.6L NA、2.0L NA 2013- XV 1.6L NA、2.0L NA 2014- フォレスター 2.0L NA、2.5L NA、1.8L ターボ 2014-2020 レヴォーグ 1.6L ターボ 2020- レヴォーグ 1.8L ターボ2020年に発表された2代目レヴォーグに搭載されるリニアトロニックは中容量型であるが、約8割の部品を新製するなど改良されており、変速比幅が初代レヴォーグの3.581 - 0.570(変速比幅約6.28)から、4.066 - 0.503(変速比幅約8.08)へとワイド化し、300 N•mの最大トルクにも対応している。 TR690型と比較したTR580型の主な違いは以下の通りである。 前進および後進シフト機構がパワーフローの入力側にある。 (プーリーより前に後進用クラッチを持つため)プーリーがパーキングまたはニュートラルでは回転していない(有害抗力(英語版)の低減)。 車両の重量と積載量が直接的に二次プーリーの稼動に影響を与える。 フェイルセーフ・ギア比は、一次アップまたは一次ダウン・ソレノイドの故障に関して共通。 クラッチプレートが熱で膨張するまで、前進用クラッチと後進用クラッチが作動する音がする。 バルブボディ機構がトランスミッションの上端のカバーの下に位置する。 インプットクラッチと二次遊星減速ギアを持たない。
※この「スバル・リニアトロニックCVT: TR690型およびTR580型」の解説は、「SUBARUのトランスミッションの一覧」の解説の一部です。
「スバル・リニアトロニックCVT: TR690型およびTR580型」を含む「SUBARUのトランスミッションの一覧」の記事については、「SUBARUのトランスミッションの一覧」の概要を参照ください。
- スバル・リニアトロニックCVT: TR690型およびTR580型のページへのリンク