伝達効率と燃費
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 21:58 UTC 版)
ベルト式CVTではプーリー回転数が高い高速走行時に、遠心力によりベルトとプーリーの密着力が低下する。これを防ぐために大きな油圧が必要となり、高速域で伝達効率が低下する問題がある。例として日産マイクラ(マーチ)K13型の場合、欧州複合モード燃費において、MT:65.7MPG, CVT:56.5MPGとなり、MTのほうが14%公称燃費が良い。日本のJC08モードと比較し、欧州複合モードは一定負荷の連続運転や高速度の比重が多く、燃費に影響しやすい。この問題の対策としては、2006年に入力側で減速するCVT(要文献)、2009年には副変速機によって変速比幅7.3を実現する(日産とジヤトコ、次世代の無段変速機を共同開発)などの改良があり、2018年には発進時に直結ギヤを用いる方式(トヨタDirect Shift CVT)、2019年には高速域においてCVTと直結ギヤを併用する方式で高速域の伝達効率を8%向上する(ダイハツD-CVT)など、多様な改良が行われている。技術的共通点としては、発進加速あるいは高速走行時の効率を両方改善するにはCVT単独では限界があり、直結ギヤの補助(Direct Shift CVT)、あるいは動力分割機構(D-CVT)によってCVTの変速比幅やトルク容量を無理のない範囲に抑える点にあるといえる。一方で、補助的な機構を使用しないCVT本体の高効率化も続いており、金属ベルト式で最高80%台の伝達効率であったものが、2021年現在ではチェーン式で90%まで改善されている。
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