シナリオ分岐や3D表示の時代へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 23:48 UTC 版)
「アドベンチャーゲーム」の記事における「シナリオ分岐や3D表示の時代へ」の解説
国内でのアドベンチャーゲームは、RPGに淘汰もしくは吸収されたかのように見受けられた。しかし、1992年にサウンドノベルを標榜した『弟切草』が開発された。同ソフトでは、エンディングに辿り着くことよりも、シナリオ分岐それ自体を楽しむことに重点が置かれた。特にプレイ回数やエンディング到達回数に応じて選択肢が増えるゲームシステムは画期的なアイディアだった。これはアドベンチャーゲームの再定義とも言えるもので、以降のアドベンチャーゲーム作品に大きな影響を与えた。続いて『かまいたちの夜』『SIREN』などが開発されている。 黎明期のアダルトゲームは、『天使たちの午後』(1985年)に見られるように、アドベンチャーゲームとして作られるケースが多かった。その後、アドベンチャーゲームの衰退に引きずられる形で、このような作品はあまり製作されなくなっていった。しかし、アドベンチャーゲームの手法を用いた『同級生』(1992年)、『同級生2』が10万本のヒット作品となり、再びアドベンチャーゲームの体裁を取る作品が急増した。『同級生』に始まる一連のゲームは、謎解きのようなゲームとしての面白味よりも、シナリオ自体で魅せる傾向が強い。特に2作目の『同級生2』がヒロイン達における後の泣きゲーに通じる人間ドラマを展開したことは、この流れを決定付けた。こうした方向性は、先述のサウンドノベルにも波及していき、『雫』に続いて『To Heart』が開発された。これらのソフトはビジュアルノベルとも呼ばれた。また、複数の視点から1つのシナリオを見る『EVE burst error』や『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』は先進的なゲームシステムを開発し、アドベンチャーゲームに新機軸を打ち出した。 独自のシステムを組み込み発展する一方で、各場面にプレイヤー側を適合させて簡易的な操作のみを行う選択肢方式の登場により、システムそのものの簡略化を図る流れも生まれた。この場合、「見る」「聞く」といった主体的な個別コマンドを駆使して場に変化を与えるのではなく、「Aさんに〇〇のことを聞く」「Bさんにアイテムを渡す」「すぐに駅へ向かう」というように、場に応じて予め決められた行動パターンをいくつか提示することで、本来複数のコマンドを必要とした行動内容をダイレクトに選ばせるというシンプルなスタイルを確立した。これら選択肢の選び方によってイベントやエンディングが変化する分岐イベント(後のシナリオ分岐)やマルチエンドへと発展した。 こうしたアダルトゲームの中には、コンシューマー機への移植にあたってアダルト性を廃し、(アダルトではない)一般的な意味でのサウンドノベル、もしくはアドベンチャーゲームへと展開していくものも見られる。 アメリカでは、『Alone In The Dark』『MYST』など3DCGを用いたゲームが開発された。特に『MYST』は大ヒットし、数多くの続編が開発されてシリーズ化された。『MYST』は、アドベンチャーゲームを大人中心のメインストリーム市場に初めて紹介した作品とも言われる。他にも、アメリカのこの時期の作品はストーリーではなくパズル的な要素が強く、グラフィックスの美しさや世界観を楽しませるものが多い。日本のゲームでは『サイレントヒル』がこの系統に属する(ただし、『サイレントヒル』はストーリーの比重もかなり高めである)が、ゲームの方向性のせいもあってか和製アドベンチャーゲームであるにもかかわらず、日本国内よりも国外で評価された。日本のものでは他に『エコーナイト』がある。
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