クーロン事件とホジソン報告とは? わかりやすく解説

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クーロン事件とホジソン報告

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/28 19:50 UTC 版)

マハートマー書簡」の記事における「クーロン事件とホジソン報告」の解説

1882年末、マドラス(現チェンナイ近郊のアディヤールに神智学協会本部設立された。そこではブラヴァツキー居室の隣に厨子 (shrine) が設けられ、この厨子の中からもマハートマー書簡出現するようになった。その協会本部では、ブラヴァツキーとは旧知間柄であったエマ・クーロンという女性とその夫が職員として働いていたが、彼女はその横暴な振舞のために他の協会員との諍い絶えなかった。クーロン夫妻解雇された後、キリスト教伝道師ところに行きブラヴァツキー起こした現象トリックであった主張しクーロン夫妻「奇跡」起こすよう指示したブラヴァツキーの手紙を証拠として渡した。以上のような経緯で、1884年9月インドキリスト教系雑誌『マドラス・クリスチャン・コレッジ・マガジン』に、マハートマー書簡その他の「奇跡」虚偽であったことを示唆する内容の、クーロン夫妻宛のブラヴァツキーの手紙が掲載された。 このクーロン事件(英語: Coulomb Affair)を機に心霊現象研究協会 (SPR) はブラヴァツキー神智学協会をめぐるさまざまな「奇跡」調査するため、同年リチャード・ホジソン現地派遣した神智学協会本部調査当たったホジソンは、翌1885年協会本部内の厨子の奥にマハートマー書簡出現仕掛があったことや、マハートマー書簡筆跡ブラヴァツキーのそれと同一であることなどを報告するホジソン・レポート(英語版)を発表し、これによってブラヴァツキー巧妙な詐欺師であると断定されロシアスパイだと考えられるようになった神智学協会側はこれを否定したが、心霊現象研究協会社会的信頼大きく、この事件によって神智学協会大きな打撃被った1986年心霊現象研究協会のヴァーノン・ハリソン(英語版)は、同レポート検証試みホジソン調査には認知バイアスかかっており、科学的調査とは言えないと指摘しクートフーミの手紙はブラヴァツキー自身書いたものではないと判断した神智学人智学日本紹介する高橋巖は、1986年心霊現象研究協会亡きブラヴァツキー謝罪したという伝聞伝えている。ただし、ブラヴァツキー口述誰かが清書したという疑い晴れておらず、側近神智学協会幹部関与を疑う説もある。人類学者杉本良男は、クートフーミの手紙はラヴァツキーの側近ダモダル・マーワランカルがアルフレッド・パーシー・シネット(英語版)と交流があった時期限定されており、ダモダルが1885年大師探しチベット向かい消息を絶つ手紙途絶えたため、関与があったことは否定できない述べている。 マハートマー書簡対す意見は現在も様々だが、この事件自体は、大英帝国ロシア帝国が、清、英領インド巻き込んで繰り広げたチベット中央アジアなどでの覇権をめぐる「グレート・ゲーム」(19世紀半ばから20世紀初頭)を背景としており、現在では、多くのエリート・キリスト教徒反英ナショナリズム立場から神智学協会加わっていたこと危機感感じていたキリスト教ミッションと、活動盛んになっていた神智学協会対抗心持っていたイギリス心霊現象研究団体が、グレート・ゲームでの利害絡んでスキャンダル利用したものだと考えられている。杉本良男は、グレート・ゲームにおける諜報戦では、表向き地理学者測量士)や民族学者調査者)が主役であったが、ブラヴァツキーのような聖者霊媒なども重要な役割果たしたことを指摘している。

※この「クーロン事件とホジソン報告」の解説は、「マハートマー書簡」の解説の一部です。
「クーロン事件とホジソン報告」を含む「マハートマー書簡」の記事については、「マハートマー書簡」の概要を参照ください。

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