クレーム問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 09:20 UTC 版)
同語が日本国内に於いて、広く一般に知られたのは、1999年(平成11年)に発生した『東芝クレーマー事件』である。同事件では報道を見た一般の視聴者に「要求者=クレーマー」ではなく、「理不尽な要求をも辞さない請求者」であると認識させてしまった。なお「クレーマー=理不尽な請求者」という認識は、東芝側の通常対応不能な総会屋などを主に担当する「渉外監理室(警察OBなどからなる)」という部署の担当者による発言の中にみられ、同担当者の認識がそのような形であったとみられている。 これに関しては報道側の取り上げ方にも問題があったと思われるが、この録音の一部がテレビ放送され、視聴者が威圧的な態度の東芝担当者側の横柄な態度が感じられる対応に反発、同社への非難や不買運動に走った点も問題視されている。また同事件では、関係者らの応酬で、常識から逸脱した対応が行われたとする報道も見られ、今日でも「ごね得(しつこく要求を繰り返せば、少々の無茶も通る・大企業をも屈服させられる)」といった認識を、世間に与えてしまった感も否めない。 同事件報道以降、暫くは消費者による「インターネット上のウェブサイトで企業を告発する」という活動が目立つようになり、この中には多額の金銭を要求するものや、関係者を論う(消費者側の不利な情報は伏せて、企業側の欠点を並べ立てるなど)ケースも発生、逆に名誉毀損で訴えられたサイト設置者も見られた。 しかしその一方で、一見不当と思われる請求にも、よくよく話を聞けば、少なくとも請求者自身はもとより、企業側でも妥当だと考える妥協点が存在すると共に、それらの人々が発見し、また一般にはまだ表面化していない製品の問題点に関する情報が含まれると見なされる様になってきている。一概にクレーマー(不当な請求者)であると無下に扱わず、責任の取れる担当者がきちんと対応することで、消費者の視点では辛うじて問題提起できるが、企業側には全く見えていなかった「ビジネスチャンスが発見できる」と考える人もある。 往々にして人は不利益を被ると、感情的になりやすい。このため企業のサポート側では感情的な電話が掛かる率が非常に高いと言える。その一方で、本当に不当で病的にクレーム請求をしてくる人も含まれる。この場合、無条件に相手の提示した案に応じると他の顧客が不当に差別されている状態を作り出してしまう。そのため、クレーマーを有効的に活用するためには関係部署にクレーマーの話に耳を傾けて公正な判断を下し、その判断を他の部署と折衝して適切に推し進められる人を配する必要がある。そのような理由により、建設的な思考の企業の部署では、応対マニュアルの整備や適切な人員の選択に注意を払うとともに、一定の企業内に於ける発言権が確保されている。 但し、クレーマーという言葉が広く周知されてきた昨今では、セクハラやパワハラ等といった言葉と同様「その言葉を持ち出す事によって、相手より優位になり全ての責任を回避出来る」といった風潮まで出てきており、企業側の落ち度によって発生したクレームや顧客が被った損害をも「悪質なクレーマー」という括りに入れてはねつける事例が発生しており、明確な境界線を見えにくくしている。
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