【キャンバー】(きゃんばー)
- 車輌の車輪につけられる反り角の一種。車輪自体を若干ロールさせた状態で取り付ける。
車体を正面から見た場合、すり鉢型に見えるものを正キャンバー、ハの字型に見えるものを逆キャンバーという。
前者は操舵輪の操舵性を向上させるため、後者は車体のロールを防ぐためにつけられる。
- 航空機では、翼の断面形状が進行方向に対して反っている様子を指す。
その程度は、翼形中心線(断面における上面の線と下面の線を平均した線)と、翼弦線(断面における前縁から後縁に引かれた線分)との距離で示される。
キャンバーがない翼(対称翼)でも迎え角を大きくすることにより揚力を発生させることはできるが、抗力も大きくなってしまい、揚抗比が悪化してしまう。
そこで翼にキャンバーを設けることにより、大きな迎え角を取らなくても揚力を得られるようにする。
主翼などは迎え角を取らなくても上向きの揚力を発生させるために、上面がふくらんだ形のキャンバーを持っている。
コアンダ効果によって空気の流れは翼の表面に沿う。これによって翼上面の気流は下向きに偏向され、より強いダウンウォッシュを生み出し、この反作用によって揚力を生み出す。
また翼の上側が膨らんでいると、上面の空気速度が下面より速くなるので、ベルヌーイの定理にしたがって上面の圧力が低くなる。この圧力差によって揚力を発生するのである。
特に層流だけでなく渦流が発生すると、機体の対気速度が遅くても気流の速度が上がり、揚力が増大する傾向にある。
さりとてキャンバーをあまり大きくしすぎると、今度は迎え角が小さくても高速時に抗力が大きくなってしまい、やはり揚抗比が悪化する。
また渦流が強いと誘導抗力の増大や、気流の剥離による失速などのおそれもある。
以上の特性から、低速用の機体ではキャンバーの大きな主翼を、高速用の機体ではキャンバーの小さな主翼を採用することが一般的である。
高速向きの機体を離着陸させる際は、フラップなどを使って一時的にキャンバーを増大させ、低速でも揚力が得られるようにする。
関連:コニカルキャンバー
キャンバー camber
キャンバ角
(キャンバー から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 22:11 UTC 版)
キャンバ角(キャンバかく、英語: camber angle)は、車両の車輪によって作られる角度の1つである。具体的には、前もしくは後ろから見た時の車輪の垂直軸と車両の垂直軸との間の角度である。反り角やキャンバー角とも呼ばれる。ステアリングや懸架装置(サスペンション)の設計において用いられる。もし車輪の上端が下端よりも外側にあるならば、正キャンバ(ポジティブキャンバ)と呼ばれる。車輪の下端が上端よりも外側にあるならば、負キャンバ(逆キャンバ、ネガティブキャンバ)と呼ばれる。
- ^ 【くるま問答】ロールとキャンバー変化の関係。接地性に大きく影響するコーナリング時のタイヤ角度とは webモーターマガジン、2021年10月31日
- ^ キャンバーに関して TM-SQUARE、2023年9月19日閲覧。
- ^ a b c “Camber angle for racing cars: Explanation”. 2022年4月10日閲覧。
- ^ クルマ好きが口にするホイールアライメント! 「キャンバー」「キャスター」「トー」って何? WEB CARTOP、2019年9月18日
- ^ a b トー、キャンバー、キャスターについて詳しく解説 COCKPIT PRESS、2023年9月19日閲覧。
- ^ 作業事例 紹介シリーズ 「アライメント ヴェロッサの場合」 タイヤガーデン松阪ブログ、2021年2月21日
- ^ キャンバーボルト Largus、2023年9月19日閲覧。
- ^ 「加工済みリアアクスル」て何だ? 軽やコンパクトカーの「地を這う」シャコタンの作り方 AUTO MESSE WEB、2020年9月29日
- ^ a b ナチュラルキャンバーを起こすことはできるのか? DIYラボ、2023年9月19日閲覧。
- ^ “英国で独自の進化を遂げる改造車シーン!”. REDBULL. 2023年9月19日閲覧。
キャンバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:58 UTC 版)
中心線の反りの大きさを表すもので、分かりやすく言えば中心線と翼弦線の差を表す。一般的にキャンバーというと最も差が大きい部分(最大キャンバー)を指すことが多い、最大キャンバーを翼弦長で割り百分率(%)に直して表示する。最大キャンパーの位置は、前縁から翼弦長の15-40%前後が多く、また、キャンバーがある場合、迎角が0度の状態でも揚力を発生する。またキャンバーが0の翼型を対称翼という。
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キャンバー (camber)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 05:13 UTC 版)
「翼型」の記事における「キャンバー (camber)」の解説
翼弦と中心線の差。一般的にキャンバーといえば最大キャンバーのことをいう。キャンバーを大きくすると揚力が大きくなるが、抗力も大きくなる。
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