キャラクター登録型の読者参加型ゲーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/03 10:10 UTC 版)
「読者参加型ゲーム」の記事における「キャラクター登録型の読者参加型ゲーム」の解説
コンシューマゲーム誌で連載された読者参加型ゲームは、折からのコンピュータRPGブームにのってRPG風ファンタジー世界を舞台にした冒険ものが主流であった。読者はRPGのようにキャラクターを作り、毎号雑誌上で紹介される冒険に挑むためにキャラクターの行動を書いて(大抵は用意された選択肢から選ぶ)往復ハガキを出し、その結果、返信ハガキで経験値や入手したアイテムのデータが返って来て、それを使って成長したキャラクターをまた次の応募に使用する、というのが当時の読者参加ゲームのスタンダードであった。(この節以降、このように読者が自分の操るキャラクターを自ら作ってゲームを行う形式の読者参加型ゲームを「キャラクター登録型」と便宜上呼称する)。 キャラクターが冒険に成功するかどうかはキャラクターの能力値から導き出され、それを判定するためのルールは読者参加型ゲームごとに違い、ルールが簡易なものもあればテーブルトークRPGやプレイバイメール並に煩雑なものもあった。各キャラクターの冒険の結果はただの数値だけでなくゲーム世界のストーリーを動かす要因にもなった。用意された選択肢を選ぶだけとはいえ、それを選ぶキャラクターは数百人以上いるのである。当然、相反する選択肢を選んだキャラ同士は戦いが起こることになり、どちらのキャラが勝利したかによって世界の様相は変動していく。ストーリーの変容の中でもっとも活躍したキャラクター(要するに最も高度に判定に勝利したキャラクター)は雑誌上に掲載されるイラストストーリーなどに登場し、ゲームに参加している読者たちの誇りとなった。 この時期の読者参加型ゲームの主流が、RPG風のキャラクター登録型だった理由の一つに、ゲームの多くがコンシューマゲーム誌で連載されていたこともある。一応はコンシューマゲーム誌なわけで、いわゆる「コンピュータゲームに似た空気」が読者参加ゲームには求められたのである。『コンプティーク』で連載されていた『ロボクラッシュ』や『トップをねらえ!』などはRPGというよりシミュレーションゲーム的なノリであったが、当時はコンシューマゲームではシミュレーションゲームというジャンルの認知度が低かったのもコンシューマゲーム誌でRPG風味の読者参加型ゲームが中心になった理由である。 また、コンシューマゲーム誌に限らずこの当時はテーブルトークRPG誌でも盛んに読者参加型ゲームが連載されていたが、こちらはキャラクター登録型が主流なのは変わらなかったが、SF戦記モノや美少女モノなど、当時のRPGの王道であった冒険ファンタジーなノリとはあえて違う方向を目指すことが多かった。 「コンピュータゲームに似た空気」を持たせることのメリットには、その読者参加型ゲームを実際にコンシューマゲームのRPGとして発売することが容易だということもあった。この時期は『ファージアスの邪皇帝』『ダブルムーン伝説』など多くの読者参加型ゲームがコンシューマゲームとメディアミックス展開を行った。 キャラクター登録型の読者参加型ゲームのゲーム性は後のゲームほど複雑化していき、読者同士でチームを組んだり、プレイバイメールのように自由な行動を可能とするものも増えていった。しかし、読者参加型ゲームの参加人数が増えていくにつれ、それを処理する側の負担も増えていった。有料のプレイバイメールと違い無料の読者参加ゲームは多くの参加者をひきつけた一方で、煩雑化に対応するためのコストがかけられないというジレンマがあったのである。このこともあって、1990年代の半ばになるとキャラクター登録型の読者参加型ゲームは急速に失速することになる。RPG的な空気を持たなくてはコンシューマゲーム誌の雰囲気にはあわないということもあり、多くのコンシューマゲーム誌からキャラクター登録型の読者参加型ゲームは消えていった。 ただし、現在でもパソコンゲーム誌やアナログゲームを扱う雑誌では、比較的難解なルールを持つキャラクター登録型の読者参加型ゲームが連載されている。近年[いつ?]ではRPG的というより、より対戦ゲーム的な要素を持つものの方が目立つようになっている。
※この「キャラクター登録型の読者参加型ゲーム」の解説は、「読者参加型ゲーム」の解説の一部です。
「キャラクター登録型の読者参加型ゲーム」を含む「読者参加型ゲーム」の記事については、「読者参加型ゲーム」の概要を参照ください。
- キャラクター登録型の読者参加型ゲームのページへのリンク