カリウム t-ブトキシドとは? わかりやすく解説

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カリウム tert-ブトキシド

(カリウム t-ブトキシド から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 06:09 UTC 版)

カリウム tert-ブトキシド
識別情報
CAS登録番号 865-47-4 
PubChem 70077
ChemSpider 63266 
日化辞番号 J35.487B
特性
化学式 C4H9KO
モル質量 112.21196
示性式 (CH3)3COK
融点

256-8 °C, 521 K, 274 °F

危険性
安全データシート(外部リンク) Oxford MSDS
EU分類 Xn, C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

カリウム tert-ブトキシド(カリウム ターシャリーブトキシド、potassium tert-butoxide)とは、有機化学で用いられる金属アルコキシドの一種。tert-ブトキシドアニオンとカリウムイオンからなるで、tert-ブチル基を略して t-BuOK。吸湿性を持つ無色の粉末。立体的にかさ高い性質と有機溶媒への可溶性により、求核性の低い強塩基としてさまざまな有機合成に用いられる。

調製と性質

他のアルカリ金属アルコキシドと同様、tert-ブチルアルコールに金属カリウムを加えると生じる。

水に触れると加水分解を受け、tert-ブチルアルコールと水酸化カリウムに変わる。

利用

上述のように、求核性の低い強塩基として用いられる。例えば2分子のエステルが反応するクライゼン縮合において水酸化ナトリウムナトリウムメトキシドなどの塩基を使うと、カルボニル炭素への求核攻撃が起こり加水分解やエステル交換反応が起こってしまう。そこでカリウム tert-ブトキシドを用いると、立体障害のために求核攻撃はせずエステルの α-位のプロトン引き抜きのみを起こすため、副反応が抑えられることになる。

tert-ブトキシド単独では塩基性が不十分な場合、添加剤を加えることでさらに塩基性を高めることができる。ヘキサメチルリン酸トリアミド (HMPA) などの極性分子、18-クラウン-6 などのホスト分子が用いられる。n-ブチルリチウムを加えた付加体はシュロッサー塩基 (Schlosser base) と呼ばれ、例えばトルエンメチル基からプロトンを引き抜くなどの非常に強い塩基性を示し、超塩基 (superbase) のひとつとされる。

関連化合物

tert-ブトキシド同様に求核性が低く、さらに強い塩基として、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)、リチウム-2,2,6,6-テトラメチルピペリジド(LiTMP)などの金属アミドが用いられる。

参考文献

  • Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, Paquette L. A. ed., Wiley, 1995; Vol. 6, pp. 4189.

「カリウム t-ブトキシド」の例文・使い方・用例・文例

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