エビデンスとアウトカム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/20 04:45 UTC 版)
「ハウジングファースト」の記事における「エビデンスとアウトカム」の解説
マサチューセッツ州で行われたプログラムではコスト削減の点で特に際立った成果を報告している。コロラド州のホームレス支援団体は、200人以上の慢性的なホームレス状態にある人にハウジングファーストアプローチで住宅を提供した。同団体の2006年の調査によると、プログラム参加者において:救急サービスの利用頻度と費用は平均34.3%減少、入院費用は66%減少、薬物依存症の入院治療割合は82%減少、刑務所に入っている日数と費用は76%減少した。プログラム開始2年後の継続率は77%だった。 ダウンタウン救急サービスセンターと提携しているワシントン州シアトルの研究者は、ホームレス状態にあるアルコール依存症患者に対して、住宅および支援サービスの提供することで、彼らを路上に放置した場合と比べ、警察沙汰や救急医療にかかることで生じるコストが少なくなることを発見した。ロバート・ウッド・ジョンソン財団の物質乱用政策研究プログラム(SAPRP)によって資金提供された研究の結果は、2009年4月のアメリカ医学会雑誌JAMAに掲載された。 慢性的なホームレス状態にあるアルコール依存症を対象としてハウジングファーストの有効性評価が行われたところ、最初の1年間に400万ドル以上の費用が削減された。このプログラムはシアトルのダウンタウンで95人のホームレスを対象に行われたが、最初の6カ月間分の住宅管理費を計算にいれても、健康および社会サービスにかかる1人あたりの平均費用は待機リストと比べ53%削減された。また、安定した住宅はホームレス状態にあるアルコール依存症患者の飲酒量を減少させることもわかった。 ユタ州は、2005年にハウジングファーストによる計画を制定して以来、全体で72%減少させた。 2007年8月、米国住宅都市開発省は、路上生活や避難所で暮らす慢性的にホームレス状態にある人の数が、2005年の175,914人から2007年の123,833人に30%減少し、ハウジングファーストアプローチがこの成果に貢献したと報告した。1999年の連邦議会は、HUDにその資金の30%をハウジングファーストに費やすように指示していた。 2010年9月にはマサチューセッツ州ボストンでは、ホームレス状態にある家族の数は増加しているが、個人のホームレスの数でみると大幅に減ったという報告があった。いくつかのシェルターではホームレスの数が減少したためにベッド数を減らし、また、いくつかの緊急避難施設、特に緊急ボストンナイトセンターは閉鎖された。ボストン市長Marty Walshは、ホームレス状態にある人にサービスを提供する公的機関と非営利団体が協調して取り組むことで、2015年までに慢性的なホームレス状態対策3カ年計画を発表した。 USICHによると、2013年の慢性的なホームレス状態に対する公共コストは3.7〜4.7億ドルと推定されている。ハウジングファーストプログラムを通じて、慢性的なホームレス状態の人は、刑務所に投獄されている時間が少なくなり、救急治療室の利用回数が少なくて済み、病院のリソースを消費することが少なくなった。例えば、慢性的なホームレス状態にある人の健康に対する恒久的で支援的な住宅とケースマネジメントの影響に関するレビューによると、これらのサービスには、自覚的な精神的健康状態や物質使用などの健康アウトカムにプラスの影響を及ぼし、ヘルスケアの利用率の向上やメディケイドのコストの削減などの効果があることがわかった。
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