エネルギー・力・温度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 07:18 UTC 版)
「ヤード・ポンド法」の記事における「エネルギー・力・温度」の解説
略称 BG – 英国重力単位系(British Gravitational Units) EE – 英国工学単位系(English Engineering Units) FPS – FPS単位系 lbf – 重量ポンド psi – 重量ポンド毎平方インチ ヤード・ポンド法は工学の分野でも長く使われて来た。ヤード・ポンド法の工学の単位で最も早く使われ出したのは、馬力と華氏度(ファーレンハイト度)だった。馬力は、1782年にジェームズ・ワットによって、33000ポンドの水を1分間に1フィート汲み上げるのに必要な仕事率として定義された。華氏度は、1713年ごろにガブリエル・ファーレンハイトによって、当初は過飽和状態の塩と氷を混ぜたものが凍る温度を0度、人の体温を96度として定義された。1777年に王立協会(当時の議長はヘンリー・キャヴェンディッシュ)が、水の融点を32度、標準大気圧における水の沸点を212度とするようファーレンハイトの温度目盛りを修正した。 英国熱量単位(Btu)は、1ポンドの水の温度を華氏1度上げるのに必要な熱量と定義される。この単位は1859年にはすでに使用されており、フランスでメートル法の熱量の単位が用いられるよりも早かった。メートル法の熱量の単位カロリーは、1824年にニコラ・クレマンがキログラムと摂氏度を用いて定義したものである。 1873年、英国科学振興協会(英語版)(当時の議長はケルヴィン卿ウィリアム・トムソン)の委員会は、一貫性の概念をメートル法に導入し、CGS単位系の力の単位ダインと仕事の単位エルグを提案した。2年後、ウィリアム・トムソンの兄のジェームズ・トムソンは、ヤード・ポンド法に一貫性の概念を持ち込み、力の単位パウンダルを導入したFPS単位系を構築した。FPS単位系の仕事の単位はフィート・パウンダルとなる。 ヤード・ポンド法の力学の単位系には他に、アーサー・メーソン・ワーシントン(英語版)が提案した英国重力単位系(BG:British Gravitational System)と、英国工学単位系(EE:English Engineering units)がある。どちらも重力加速度に依存しており、力の単位として重量ポンドを使用するが、ニュートンの運動の法則に対するアプローチが異なる。英国重力単位系では、質量ではなく力を基本単位とし、スラグを慣性(質量ではない)の組立単位とする。一方、英国工学単位系では一慣性のないアプローチを使い、運動方程式に重力(g)のために加速度を導入する。どちらのアプローチでも、重量ポンド(重量キログラムでも同様だが)の値が地域によって異なるという問題を引き起こす。そのため、1901年に国際度量衡総会(CGPM)で「度量衡の国際的なサービス」で使用するgの基準値(標準重力加速度)を決定した。その値は北緯45度におけるgの値で、正確に9.80665 m/s2(32.174 ft/s2)である。 それぞれの単位系で、ニュートンの第2法則は以下のように表される。 BG: 力(重量ポンド) = 慣性(スラグ) × 加速度(フィート毎秒毎秒) EE: 力(重量ポンド) = 質量(ポンド) × g × 加速度(フィート毎秒毎秒) FPS: 力(パウンダル) = 質量(ポンド) × 加速度(フィート毎秒毎秒) FPSは多くの工学の授業や教科書では無視され、例えばロン・ダービーはSIとともにEEを使用し、BGとEEを「archaic(古風、昔風、すたれた)」と記述している。
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