g(k)の値
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全ての自然数を自然数の k 乗べきの s 個の和で表せるとしたとき、最小の s の値を(全ての k に対して)g(k) で表すこととする。g(1) = 1 であることに注意する。簡単な計算により、7 は 4 個の平方数、23 は 9 個の立方数、79 は 19 個の 4 乗数で表すことがわかるので、これらの例から g(2) ≥ 4, g(3) ≥ 9, g(4) ≥ 19 であることがわかる。ウェアリングはこれらの値が実際は全ての自然数に対して表すことが可能ではないかと予想した。 1770年のラグランジュの四平方定理は、全ての自然数は多くとも 4 個の平方数の和で表現できると主張しており、前述の通り 3 個の平方数では表現できないため、この定理から g(2) = 4 であることがわかる。ラグランジュの四平方定理は、ディオファントスの『算術(Arithmetica)』のクロード・バシェによる1621年版の中で予想されている。フェルマーは証明したと主張したが、出版はされていない。 年月を経て、段々と複雑で高度化した証明法が使われるようになり、様々な境界が判明してきた。例えば、リウヴィルは g(4) は大きくとも 53 であることを示した。ハーディとリトルウッドは、十分に大きな自然数に対して、多くとも 19 個の 4 乗数の和で表されることを示した。 g(3) = 9 であることは1909年から1912年にかけて、アーサー・ウィーフェリッチ(英語版)(Arthur Wieferich) とオーベリィ・ケンプナー(英語版)(A. J. Kempner)により示された。1986年には、g(4) = 19 がラマチャンドラン・ブラスブラマニアン(英語版)(R. Balasubramanian)、ドレス(F. Dress)とジャン・マーク・デショワラー(英語版)(J.-M. Deshouillers)により示された。1964年には、g(5) = 37 が陳景潤により、g(6) = 73 は1940年にスバッヤ・ピライ(英語版)(Pillai)により示された。 [x] と {x} でそれぞれ x の整数部分と分数部分を表すとする。2k[(3/2)k]-1<3k であるので、2k と 1k だけが、この数を表すことに使うことができ、もっとも簡潔な表現(和を取る、べき乗整数の個数が最小となる表現)は [(3/2)k]-1 個の 2k と 2k-1 個の1k の和であるから、これにより g(k) は少なくとも 2k + [(3/2)k] − 2 よりも大きい。有名なレオンハルト・オイラーの息子であるJ. A. オイラーは、1772年頃に、実際、g(k) = 2k + [(3/2)k] − 2 であることを予想した。後日、レオナルド・ディクソン(英語版)(Dickson)、ピライ、R. ルブグンダイ(英語版)(R. K. Rubugunday)、イワン・ニベン(英語版)(Ivan M. Niven) や他の数学者らにより、以下のことが示された。 2 k { ( 3 / 2 ) k } + [ ( 3 / 2 ) k ] ≤ 2 k {\displaystyle 2^{k}\{(3/2)^{k}\}+[(3/2)^{k}]\leq 2^{k}} のとき、 g ( k ) = 2 k + [ ( 3 / 2 ) k ] − 2 {\displaystyle g(k)=2^{k}+[(3/2)^{k}]-2} 2 k { ( 3 / 2 ) k } + [ ( 3 / 2 ) k ] > 2 k {\displaystyle 2^{k}\{(3/2)^{k}\}+[(3/2)^{k}]>2^{k}} かつ [ ( 4 / 3 ) k ] [ ( 3 / 2 ) k ] + [ ( 4 / 3 ) k ] + [ ( 3 / 2 ) k ] = 2 k {\displaystyle [(4/3)^{k}][(3/2)^{k}]+[(4/3)^{k}]+[(3/2)^{k}]=2^{k}} のとき、 g ( k ) = 2 k + [ ( 3 / 2 ) k ] + [ ( 4 / 3 ) k ] − 2 {\displaystyle g(k)=2^{k}+[(3/2)^{k}]+[(4/3)^{k}]-2} 2 k { ( 3 / 2 ) k } + [ ( 3 / 2 ) k ] > 2 k {\displaystyle 2^{k}\{(3/2)^{k}\}+[(3/2)^{k}]>2^{k}} かつ [ ( 4 / 3 ) k ] [ ( 3 / 2 ) k ] + [ ( 4 / 3 ) k ] + [ ( 3 / 2 ) k ] > 2 k {\displaystyle [(4/3)^{k}][(3/2)^{k}]+[(4/3)^{k}]+[(3/2)^{k}]>2^{k}} のとき、 g ( k ) = 2 k + [ ( 3 / 2 ) k ] + [ ( 4 / 3 ) k ] − 3 {\displaystyle g(k)=2^{k}+[(3/2)^{k}]+[(4/3)^{k}]-3} 2k{(3/2)k} + [(3/2)k] > 2k となるような k の値は知られていない。クルト・マーラー(英語版)(Kurt Mahler)はそのような k が存在しても有限個しかないことを証明し、クビナ(Kubina)とウンダーリッビ(Wunderlich)は、そのような k は k > 471,600,000 である必要があることを示した。この結果を受けて、第一の場合しか起こり得ないのではないか、すなわち、正の整数の k に対し、 g ( k ) = 2 k + [ ( 3 / 2 ) k ] − 2 {\displaystyle g(k)=2^{k}+[(3/2)^{k}]-2} となるのではないかと予想されている。 g(k) の最初のいくつかを以下に列挙する。 1, 4, 9, 19, 37, 73, 143, 279, 548, 1079, 2132, 4223, 8384, 16673, 33203, 66190, 132055 ... オンライン整数列大辞典の数列 A002804.
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G(k)の値
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G(k) の境界4 = G(2) = 4 4 ≤ G(3) ≤ 7 16 = G(4) = 16 6 ≤ G(5) ≤ 17 9 ≤ G(6) ≤ 24 8 ≤ G(7) ≤ 33 32 ≤ G(8) ≤ 42 13 ≤ G(9) ≤ 50 12 ≤ G(10) ≤ 59 12 ≤ G(11) ≤ 67 16 ≤ G(12) ≤ 76 14 ≤ G(13) ≤ 84 15 ≤ G(14) ≤ 92 16 ≤ G(15) ≤ 100 64 ≤ G(16) ≤ 109 18 ≤ G(17) ≤ 117 27 ≤ G(18) ≤ 125 20 ≤ G(19) ≤ 134 25 ≤ G(20) ≤ 142 G(k) は、全ての十分大きな(英語版)整数を(つまり、ある定数よりも大きな全ての整数を)、自然数の k 乗の多くとも s 個の和で表すことができるような、最小の整数 s の値として定義される。ハーディとリトルウッドの仕事から、 G(k) は g(k) を使い研究された。平方数は 0, 1, 4 (mod 8) に合同であるので、7 (mod 8) に合同な整数は 3 個の平方数の和として表すことができない。これは G(2) ≥ 4 を意味する。全ての k に対して G(k) ≤ g(k) であるので、これは G(2) = 4 を意味する。ハロルド・ダヴェンポートは、1929年、G(4) = 16 であることを、1, 2, ..., 14 (mod 16) に合同な十分大きな数は 4 乗数の 14 個の和として表すことができることを示すことで証明した。他の k に対して、G(k) に境界があることは知られているが、G(k) の正確な値は分かっていない。
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