インディアン賭博規制法(IGRA)
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「インディアン・カジノ」の記事における「インディアン賭博規制法(IGRA)」の解説
1988年、連邦議会は、インディアンの賭博場経営と規制に関するインディアン賭博規制法(IGRA)を通過させた。これは、連邦政府が公式認定した部族が(つまり、「絶滅認定」された部族はカジノ運営できない)州との交渉を経て、アメリカ国の規定内および室内で行うことを前提としている。言い換えれば、州がこれを禁止した場合、インディアンはカジノ設営出来ないということでもある。この法令は、インディアンの賭博場を以下のように、3つのクラスに分けるものである。 クラス1- 最小級賞品を伴う、「伝統的な部族の賭博と社会的な賭博」と定義。部族政府外には、全く規制権限がない。 クラス2- 家庭内などでない、他の賭け客に対して行われるギャンブルと定義。ビンゴや、ポーカーのようなカードゲーム。それらが州でも適法である限り、これらのゲームはインディアンの国でも認められるものとする。 クラス3- カジノに対してのギャンブル、つまりスロットマシン、ブラックジャック、サイコロ博打、ルーレットを含み、クラス1とかクラス2とかでない、賭博すべてを形作るものと定義。州との盟約を必要とする。 この法令の制定にあたり、インディアン・カジノ運営の審査と認可業務に当たらせるべく連邦は全米インディアン賭博委員会(NIGC)を設立。インディアン側もインディアンのカジノによる自給自足と福利厚生を保護すべく全米インディアン賭博協会(NGIA)を設立している。 1992年、コネチカット州のマシャンタケット・ピクォート族が「フォックスウッズ・カジノ・リゾート」をオープンし、さらにダコタ・スー族が「ミスティック・レイク・カジノ」を開き大きな利益をあげた。 ピクォート族やダコタ族に続けと、他の部族も不安定な経済収入など将来性を考慮してギャンブル事業に乗り出し、現在、アメリカにインディアンが運営するカジノは377ヶ所あり、ほとんどの州にインディアン・カジノが開設され、アパッチ族やチョクトー族、オナイダ族、チペワ族(オジブワ族)など連邦政府が認定する562の部族がギャンブル事業を運営している。これらインディアン・カジノの年間総収入は約1兆6500億円に達している。かれらのカジノのほとんどは都市圏から離れた場所にあるが、遠距離にも拘らず来客数は年次増大している。 インディアン・カジノの収入の70%は部族に還元することが規定されており、「奪われた土地の買い戻し」や「道路の舗装・整備」、「部族の医療や教育、居住」、「バッファロー牧場の開設」などの資金といった、それぞれの部族の福利厚生に使われることになっている。 1990年代に入ると、テキサスやマサチューセッツ、オレゴンをはじめ各地の州議会で「賭博は教育・道徳的に許されないものである」との理由からインディアン・カジノの運営禁止決議が相次いでいる。そもそもインディアンの衣食住の権利を詐取してきた白人が「道徳」を理由にカジノを禁止するのは理不尽ではないかとの内外の批判も多く、またインディアン・カジノが自治体にもたらす税収は莫大なものであり、インディアンだけでなく、非インディアンの雇用をも生み出す一大事業ともなっていて、これら州によるカジノ禁止決定に対する抗議デモの参加者には失業した非インディアンのカジノ従業員の姿も多い。[要出典]
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