アラビカの変異種・改良種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 07:56 UTC 版)
「コーヒーノキ」の記事における「アラビカの変異種・改良種」の解説
ブルボン (C. arabica 'Bourbon') イエメンからブルボン島に移入され突然変異したもの。ティピカの突然変異種とする文献も多くあるが、コーヒーが中米に伝わったのより早くブルボン島に移入されているため、つじつまが合わない。ブラジルに移入され発見された。ティピカと比べ収量は多いが、より新しい品種との比較では劣り、また収量が隔年変化し安定せず、霜害や病虫害にも弱い。品質は良好で、甘味や濃厚なコクと丸みが特長。生豆は小さめで、センターカットがS字のカーブを描く。かつてのブラジルにおける主力品種。ブルボン・サントスがその代表。レユニオンでは、変異種のブルボン・ポワントゥ(Bourbon Pointu)が栽培されていたが、1940年代に一時栽培が途絶し、2007年にUCC上島珈琲によりごく少量ではあるが栽培が復活した。ポワントゥは、ブルボンよりも豆が細くかつ密度が大きく、カフェインの量が通常のコーヒーの約半分(0.6%)で甘みが強く、花のような独特の香気が特長。また、葉もゲッケイジュのように細長く、樹形もとがっている。その後、ポワントゥはブラジルなどでわずかに栽培されているラウリーナ(Laurina)と同一であることが判明した。高品質であるものの、病虫害に弱く生産性も低い(通常のアラビカの約30%)ため、希少価値が高い。 カトゥーラ (C. arabica 'Caturra') 「カツーラ」と表されることも多い。ブラジルで見つかったブルボンの変異体。病虫害に強く、低温にも耐える。矮性(樹高が低い)で収穫時の手間が少ない。高品質で特に強い良質な酸味を持つが、やや渋味も強い。コロンビアなどの主力品種の一つ。発見されたブラジルでは土地の相性が悪く、収量の隔年変化のためにほとんど栽培されていない。 ムンド・ノーボ (C. arabica 'Mundo Novo') ブラジルでブルボンとティピカの自然交配から生まれた品種。病虫害に強く、比較的高収量。ブルボンでありながら旧来のティピカに似た、調和の取れた味を持つと言われる。ムンド・ノーボとは「新世界」の意味。ブラジルの主力品種の一つ。 カトゥアイ (C. arabica 'Catuai') 「カツアイ」と表されることも多い。ムンド・ノーボとカトゥーラを交配したもの。矮性(樹高が低い)で病虫害に強く、高収量。味はブルボンに似る。ブラジルの主力品種の1つ。 マラゴジッペ (C. arabica 'Maragogype') ブラジル原産のティピカの変異種。種子が極めて大きい。品質はやや低めだが、特徴的な風味を持つ。炭焼コーヒー向きと言われる。 サン・ラモン (C. arabica 'San Ramon') コスタリカで発見されたティピカの変異種。矮小な品種、風味は良いとされるが生産性は高くない。ホンジュラス、パナマ、グァテマラなどで少し栽培されている。 パーピュラセンス (C. arabica 'Purpurascens') 「プープルアセンス」とも表されるティピカの変異種。葉が紫色に紅葉する。ベネズエラやホンジュラスでごく少量生産されていて商業ベースでは流通していない。 ケント (C. arabica 'Kent') インドで発見されたティピカの変異種。病害に強く高収量。 パーカス (C. arabica 'Pacas') エルサルバドルで発見されたブルボンの変異種。矮性 (樹高が低い) で、種子が大きく、品質も良好。 アカイア (C. arabica 'Akkaya' ?) ブラジルでムンド・ノーボのなかから特に大きい種子をつける樹を選抜して固定化した品種。生豆の平均サイズがスクリーン18と大きく、病害に強い。 パカマラ (C. arabica 'Pacamara') パーカスとマラゴジッペを交配したもの。「パカマラ」という名前の由来は両品種の名前を合成たもの。エルサルバドルにて栽培される。種子が大きく、軽い酸味と甘味を持つと言われる。 ヴィラ・サルチ ( 'Villa Sarchi' ) コスタリカで発見されたカトゥーラに似た変種。カトゥーラの変異したものか、あるいはカトゥーラとパーカスの自然交配種の変異したものだと言われている。 アルーシャ (C. arabica 'Arusha' ) ティピカの変異種。タンザニアにある「アルーシャ地区」で栽培が始まったが、パプアニューギニアに持ち込まれ、現在では同国での栽培が盛んである。 ゲイシャ (C. arabica 'Geisha' ) エチオピア原産の野生種。パナマやマラウィにおいて栽培が盛んな品種であり、低収量だが高品質。独特な風味と香気を持つ。パナマ産のものが近年のオークションでブルーマウンテンをも超える高値で取引されたことから他の中南米諸国でも栽培が始められている。
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