さまざまな姿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 13:47 UTC 版)
Sakti samgamaタントラによると妻のマハーカーリは非常に恐ろしい存在に嫁ぎ、夫マハーカーラは腕が4本で3つ目、1千万の破壊の黒炎の輝きを放ち8ヵ所の火葬場に囲まれて暮らす。身を飾る8つの頭蓋骨、5体の骸を椅子代わりに腰を下ろし、手に三つ又の鑓 (やり) に太鼓、長刀に鎌を携える。全身に火葬場の灰が降りかかり、その周囲を取り囲むハゲタカとジャッカルが大きな声で吠え立てるという。隣にいる妻のカーリーとともに時間の流れを象徴している。マハーカーラとカーリー(マハーカーリー)は両神ともブラフマンの究極の破壊力を表し、いかなる規則や規制にも縛られることはない。時間と空間さえも自分自身の中へと溶かしこむ力を持ち、宇宙が溶け去ったあとも「空」として存在しつづける。カルパの終焉に当たり宇宙を解散させるのは、この両神に任されている。あるいはまた、たとえ他の神々のデヴァ(Deva)やトリムルティス(Trimurti)には実現できなくても、強大な悪とデーモンを全て滅する責任を負う。 マハーカーラとカーリーは「カラ」すなわち「時間」の擬人化された存在であり、何にも拘束されない「時間」は慈悲を示さず、何もあるいは誰をも待つことはない。それゆえに男であれ女であれ、子供でも動物でも、世界あるいは宇宙全体を容赦なく滅し尽くす。オリッサ州とジャールカンド州、ならびにドゥアール地方(英語版)の一部(いわゆるベンガル地方北部)では、野生の象をマハーカーラとして崇拝する。 マハーカーラは通常、色が黒い。黒はすべての色を吸収して溶かし込むように、すべてを包含する包括的な性質を備えるマハーカーラは、すべての名前と形を溶かし込むと言われる。また黒とは色が完全に欠如した状態とも言え、この場合もマハーカーラの本質を究極または絶対の現実として表す。梵語でこの原則をあらゆる質と形を超えた「ニルグナ」nirgunaと呼び、すべてを包含し、かつ絶対の存在というどちらの解釈も引き受ける。 大乗仏教、チベット仏教のすべての宗派で護法善神マハーカーラに帰依する。描かれた姿はいくつものパターンがあって、それぞれに本質と側面が明らかに異なる。またさまざまな存在が異なる場合ごとに発散したものと見なされ、聖観音 (Avalokiteśvara、ワイリー方式:spyan ras gzigs)あるいはカクラサバラ(Cakrasaṃvara ワイリー方式:’khor lo bde mchog)である。マハーカーラの王冠にはほぼ必ず5個の頭蓋骨が飾られ、5つの煩悩(kleśās 負の苦痛)が五智如来に化生するさまを象徴する。 マハーカーラの顕現と描写では腕の本数の違いが最も目立ち、他の詳細も実にさまざまである。たとえば事例によって体が白い、頭が複数ある、性器のない姿(中性、または去勢者)、何かを踏みつけた立ち姿だが足元の物体の数は一定ではなく、手に持つ道具もさまざまなら、武器の代わりに装飾品などを備えることもある。
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