「自白」の任意性・信用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:35 UTC 版)
「みどり荘事件」の記事における「「自白」の任意性・信用性」の解説
弁護側は、捜査段階での「自白」には疲弊した輿掛に虚偽の事実を告げ家族との面会と引き換えに強制されたもので任意性がないと主張したが、判決は、「捜査官が母親らに会えるようにしてやるから記憶にあることを全部話すようにと説得したことが被告人に与える心理的な影響は通常の場合より大きかった」と認めつつも、「この点を充分に考慮しても前記の任意性の判断の結論には影響がない」として任意性を認め、風邪を引いた輿掛を医師に診察させたのが「自白」の前か後かについても、「カルテか、甲一四一号証または留置人出入簿のどれかの時間の記載に正確性を欠くものがあると考えられ、そうすれば右の矛盾は十分に説明がつくもので、その故に被告人が同日夜(医師名)医師の診察を受けた事実を否定してしまわなければならないものではない」として弁護側の主張を退けた。
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「自白」の任意性・信用性
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「みどり荘事件」の記事における「「自白」の任意性・信用性」の解説
捜査段階での不利益供述について、一審判決では、捜査員が母親に会わせることと引き換えになされた「約束による自供」にあたるとしたものの、任意性・信用性には影響がないとし、「倒れている被害者の側に立っていた」などの供述を事実と認定して、輿掛が犯人である決め手の一つとしていた。控訴審判決では、まず、全体的な供述内容を、「被告人が被害者を殺したことは間違いないとしながら、犯行の動機はもとより、二〇三号室への侵入経路、強姦及び殺人の犯罪行為そのものに関しては、全く記憶がないという不自然なものである」と指摘し、一方で「倒れている被害者の状況に関する供述内容は」「あたかも死体発見当時の被害者の状況を撮影した実況見分調書の写真を見ながら供述しているかのようである。一読して、被告人の実体験に基づく供述であるか甚だ疑問である」とした。また、「捜査官が、被告人が母親らの身の上を心配し、会いたがっていることを利用して、母親らと面会させる約束をし、実際に面会させたことの代償として不利益供述がなされたことは疑う余地がない」と認定し、「任意性を認めることには躊躇せざるを得ない」とした。さらに、「捜査官が、被告人に対し、『お前の体毛が二〇三号室にあったという鑑定が出ている。』と決めつけて追及したこと」を「体毛鑑定の結果も、単に本件現場に遺留されていた体毛が被告人の体毛に類似するというにすぎず、被告人以外の者の体毛である可能性もあるわけであるから、本件体毛鑑定の結果をもって、被告人の体毛が二〇三号室にあったと決めつけて追及することは許されない」と捜査手法を厳しく批判し、「取り調べにおいて、被告人が心理的強制を受け、その結果虚偽の不利益供述を誘発された恐れが濃厚であるから、その任意性には疑いがあると言わざるを得ない」として輿掛の不利益供述の任意性を否定した。
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