「報恩抄」とは? わかりやすく解説

「報恩抄」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 23:32 UTC 版)

日蓮」の記事における「「報恩抄」」の解説

建治2年1276年6月日蓮自身剃髪の師である道善房が死去したとの知らせ接し道善房の恩に報ずるため、翌月「報恩抄」を完成させ、清澄寺時代兄弟子である浄顕房・義浄房に宛てて同抄を送った。「報恩抄」の内容は、①報恩倫理を示す、②真言密教破折を軸に正像末仏教史概観する、③三大秘法法理を示す、の3点要約される。 本抄の冒頭では「夫れは塚をあとにせず、白亀は毛宝が恩をほう(報)ず。畜生すらかくのごとし。いわうや人倫をや」と報恩こそが倫理根本であることを示し末尾では「日本国一同南無妙法蓮華経なり。されば花は根にかへり真味は土にとどまる。此の功徳故道善房の聖霊御身にあつまるべし」として日蓮南無妙法蓮華経弘通した功徳故道善房に帰していくと述べられている。日蓮実践全て師・道善房への報恩回向になっているとの趣旨である。 ②の真言密教破折については、「撰時抄」では触れられなかった第5代天台座主智証大師円珍対す破折弘法大師空海霊験欺瞞性を暴露するなど、「撰時抄」よりもさらに踏み込んだ内容見られ日蓮による密教破折集大成ともいうべきものになっている本門の本尊戒壇題目という「三大秘法」の名目身延入山直後書かれた「法華取要抄」で示されていたが、「報恩抄」は三大秘法内容初め説示し著述として重要な意義を持つ(ただし、本門の戒壇については名目挙げるとどめられている。戒壇意義説かれるのは弘安5年1282年)の「三大秘法抄」まで待たねばならない)。 本門の本尊について「報恩抄」では「一に日本乃至閻浮提一同に本門教主釈尊本尊とすべし所謂宝塔内の釈迦多宝、外の諸仏並びに上行等の四菩薩脇士なるべし」と説かれる。この文の解釈各宗派異なる。たとえば、日蓮宗ではこの文の「本門教主釈尊」を文上寿量品に説かれる久遠実成釈迦仏とするのに対し日蓮正宗では釈迦仏正法像法時代の教主とする立場からこの「本門教主釈尊」を本因妙の教主釈尊すなわち日蓮自身であるとする。 本門の題目については「三には日本乃至漢土月氏・一閻浮提人ごと有智無智をきらはず一同に他事をすてて南無妙法蓮華経唱うべし。此の事いまだひろまらず。一閻浮提の内に仏滅二千二百二十五年が間一人唱えず日蓮一人南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経等と声もをしまず唱うるなり」と説かれる身延において日蓮膨大な書簡法門書を執筆し多く文字曼荼羅本尊を図顕し門下教導した(現存する日蓮真筆曼荼羅本尊120余幅を数える)。時には百人超える門下参集し法華経講義受けている。日蓮法華経講義を、後に日興門流がまとめたのが「御義口伝」、日向門流がまとめたのが「御講聞書」とされている)。

※この「「報恩抄」」の解説は、「日蓮」の解説の一部です。
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